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<いだてん>阿部サダヲの上司演じるリリー・フランキー「阿部さんの演技は、珍しい動物を見ているような感覚」

9/8(日) 9:00配信

ザテレビジョン

阿部サダヲ演じる新聞記者・田畑政治を主人公に、第2部を放送中の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)。

【写真を見る】9月8日(日)放送の「いだてん」で二・二六事件が描かれる

1932年のロサンゼルスオリンピックで日本が数多くのメダルを獲得し、大旋風を巻き起こしたのもつかの間、日本へ戻った田畑は、1940年のオリンピック招致を目指し、さまざまな難題にぶつかっていく。

そして、1936年の2月26日。陸軍の青年将校によるクーデター、二・二六事件が発生。ここから、不幸にも時代は戦争へと向かってしまう。

今回は、田畑の勤める新聞社の上司・緒方竹虎を演じているリリー・フランキーにインタビューを敢行。

阿部の印象や、バー「ローズ」での撮影エピソード、そして激動の昭和史の渦中にいる人物を演じた感想などを聞いた。

■ 阿部さんの演技を見ていると、珍しい動物を見ているような感覚になるんです

――緒方が田畑をかわいがっていた理由は何だと思いますか?

何ですかね。入社試験では、緒方さんが田畑を落とそうとしたところを、当時の社長が「顔がいいから」と言って採用していますし、緒方さんが田畑を猫可愛がりしている理由がドラマでは明確に説明されていないんです。

当時の新聞社には、破天荒な人もたくさんいたんだと思うんですけど、緒方さんからしたら、田畑は新しいタイプのはちゃめちゃな人間で、活きが良くて、新しい時代を作ってくれそうに見えたんじゃないでしょうか。

――田畑を演じる阿部さんの印象はいかがですか?

阿部さんの演技を見ていると、珍しい動物を見ているような感覚になるんです。かわいらしい存在感もありつつ、めちゃくちゃなエネルギーを出しているところとか(笑)。

見ているだけですごく楽しいので、全てのシーンが印象的です。

――田畑が水泳の話ばかりしていた点については、どう思っていたんでしょうか?

当時の新聞社は、運動に対してあまり関心を持っていなかったと言うか、一つの事象でしかなかったんだと思うんです。

でも田畑のように、スポーツをエンターテインメントとして考える人が出てきたから、新聞もオリンピックについて取り上げるようになって、購買層も変わってきたんでしょうね。

もし田畑みたいにスポーツに熱中している人が当時いなかったら、スポーツにおいてもっと日本は遅れていたかもしれないと思います。

それに、単純にめちゃくちゃ好きなものがある人って、見ていて気持ちいいので、田畑も見てて「いいな」と思っていたんじゃないでしょうか。

■ ドスンと構えているべきなんでしょうけど、いかんせん隣には…

――緒方を演じる上で、参考になったエピソードなどはありますか?

最初にいろんな資料をいただいたので読んでみたんですが、緒方さんはのちにすごく立派な政治家になる人なんですよね。

だから、本来だったらドスンと構えているべきなんでしょうけど、いかんせん隣には田畑がいるので…。低い声で「いいかい田畑くん」みたいなせりふ回しをしていると噛み合わない。

だから、威厳を出すことは忘れて、ちょっとしたボケも入れるようにしようと思いました。

普段偉い人がしないようなボケも入れているので、のちに緒方さんが偉い人になることはもう忘れるようにしています。

――コミカルなシーンと言えば、バー「ローズ」でのマリー(薬師丸ひろ子)と、田畑と3人のシーンですね。

そうですね。バーでのシーンは、いつか緒方さんが副総理くらいまで偉い人になるんだってことを完全に忘れないとできないんです(笑)。

バーに行けば行くほど、田畑寄りのペースに緒方さんが乗り出しているって感じがします。

――バーの撮影現場は、どんな雰囲気ですか?

すごくいい雰囲気です。薬師丸さんは穏やかで素敵な方ですし、あんなに健やかな方は他にいないですよ。

バーの最初のシーンから、阿部さんが薬師丸さんに「ババァ」言ってて…さすがにちょっと、僕から言わなきゃと思って、阿部さんに「よくそんなひどいことを薬師丸さんに言えますね」って言っちゃいましたよ。

そしたら阿部さん、「だって台本に書いてあるんだもん!」って弁解してました(笑)。

バーのシーンは、毎回好きですね。

飲み屋特有のふざけてる感じがあって、新聞社にいるときより気持ちが楽なんです。だから緒方さんもバーに通っているんだろうなと思いました。緊張感なくできています。

――新聞社のシーンはどんな雰囲気なんですか?

おっさんのガヤが多いんですよ! いつもみんなで言ってるんですけど、新聞社のシーンの撮影が終わると、のどが痛くなるんです。

みんなの声がでかいから、気づかないうちにみんな声大きくなっちゃうんです(笑)。

――そんなにも声を張ってるんですね。今回の役を演じてみて、昭和期の新聞社に対するイメージはどんなものになりましたか?

今の新聞記者の方々はエリートだと思いますけど、この物語で描かれるころの新聞記者は、“輩(やから)”感が強かったんだなと台本を読んで思いました。「嫁に出しちゃいけない」と言われていたくらいですし。コンプライアンスという感覚がないままメディアをやっているわけですからね。

■ 二・二六事件の一報が新聞社に入るところを撮影は、やっぱりすごく重く感じました

――歴史的な出来事の渦中にいる人物を演じてられて、どのように感じましたか?

ちょうど平成から令和に元号が変わる時期に、新聞が元号をスクープする話が出てきた。このドラマの企画は3年ほど前からスタートしたそうですから、時期を狙って書いたわけじゃないだろうに、すごいなと思いましたね。自分もそのタイミングに居合わせることができてよかったです。

今回の大河は近代が舞台なので、歴史的な事件や出来事が身近に感じられるような気がします。戦国時代とかの遠い昔の話だったら、血生臭くなくエンタメとして見られるかもしれないけど、戦(いくさ)ではなく、戦争の恐ろしさがある。

どんどん戦争に向かって暗くなっていく国の中で、スポーツで娯楽を作った田畑という存在は大きかったんじゃないかなと思いますね。

僕、「サッカーは戦争だ」みたいな例えをするのが、聞いてて気持ちよくないなと思ってたんです。スポーツ観戦は好きなんですけど、国対国の戦いというまとめ方にされてしまうと、興味が持てなくなってしまう。オリンピックもそうで、国対国の代理戦争ではなく、本当は個人対個人の戦いなんですよね。

第26回(7月7日放送)の人見絹枝(菅原小春)さんのお話は、本当に感動的でしたね。女性がオリンピックに出られない時代から、差別や偏見を受けながら勝ち取っていく。

そういう人たちが頑張ったおかげで、今の時代の自分たちが自由にできていると分かるのはいいことだと思いますね。それに、1000年前の遠い昔のお話とかじゃなくて、ついこの間までの日本のことですから。

改元や戦争などいろんなことがあった中で、1964年の東京オリンピックにたどり着いたんだなってことに、僕自身もすごく興味がわきましたね。

――9月8日(日)放送の第34回では、二・二六事件も描かれます。

先ほどもお話しましたが、戦国時代の戦(いくさ)で、野原で人が斬り合っているよりも、戒厳令が出る描写のほうが人は重い気分になるんだなと思いましたね。

二・二六事件の一報が新聞社に入るところの撮影は、やっぱりすごく重く感じました。新聞社に押しかけてきた青年将校に立ち向かうシーンは、イメージの中では、相当かっこよくなる予定だったんですけど、台本読んだらさほどかっこよくなく(笑)。

所作を居合道の方に習ったりしたので、立ち向かうところはかっこいいんです。けど、そういう深刻なシーンにもちょっとユーモアが入っている感じが、宮藤官九郎さんっぽいリアリティーだなって思いました。

だって肉親が死んでも、その日の夜にみんなで寿司を食べて笑ったりするわけで。そういうふうにどんなに悲しいことがあっても、人はしかめ面ばっかりしてるわけじゃなくて、笑ったりもするんだっていうのがリアルなんですよね。

――宮藤官九郎さんの脚本の魅力はどんなところだと思いますか?

宮藤さん自身がすごく真面目であり、真剣にふざけられる人なんです。

(本作の制作統括・)訓覇(圭)さんと宮藤さんは、(連続テレビ小説)「あまちゃん」(2013年)をやっているから、「ここまでふざけても大丈夫だな?」という下地ができていて、その上で今回の脚本を作っているので、歴史をどう面白くするかっていうのが練られていますよね。

また阿部さんや(皆川)猿時さんが出演しているからか、第2部になってからはさらに水を得た魚のよう。

演出陣もちょっと現代っぽい言い回しになっても、現場のグルーブ感を優先しているように感じます。

――最後に、今回の大河でオリンピックに対する印象はどうなりましたか?

大河ドラマでオリンピックをやるのって相当ナイスな企画だなって思いました。

僕はあんまり時代劇を見ないので、「こういう大河が見たかった!」と思ってます。

それに、ちょうど東京オリンピックというお祭りの前夜祭として、すごくいい予備知識になりますよね。

あと僕、イラストレーターの仕事の中で、一番の“あがり”はオリンピックのキャラクターを描くことだと思ってたんです。

だから、今回の東京オリンピックのキャラクターは絶対に応募しようと思ってたんですけど、気づいたら締切が過ぎていて…決まったキャラクターはもう悔しいから見ないようにしてます(笑)。(ザテレビジョン)

最終更新:9/8(日) 9:00
ザテレビジョン

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