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悪名高き「在職老齢年金」の廃止方針、実は金持ちだけが対象

9/9(月) 16:00配信

マネーポストWEB

 根本匠・厚労相は5年に1度の“年金財政検証”の発表会見で“100年安心”を強調したが、はたしてそうだろうか。財政検証に並んだ小難しい専門用語に騙されないよう、そこに潜む「嘘」を暴いていく。

 財政検証には、厚労省がこれから進めたいと考えている年金制度改悪の内容が先回りして盛り込まれる。「オプション試算」と題されたパートがそれにあたる。「パート妻を主な標的にした厚生年金への加入義務強化」、「基礎年金の加入期間の延長」、「厚生年金の加入年齢の上限の引き上げ」などに加えてもう一つオプション試算に含まれているのが「在職老齢年金の見直し」だ。

 在職老齢年金制度は「働く60代以上の収入が一定以上になったら、年金の一部をカットする」という悪名高い制度である。

 60~64歳の場合、月給と年金の合計収入が28万円以上になると、超過額の半額の年金が支給停止になる。月額10万円の年金を受け取る人が月給30万円の仕事をしていると、年金の半分以上の6万円が召し上げになるのだ。対象となる年金受給者は約124万人にのぼり、毎年約1.1兆円が支給停止されている。

 政府は、6月に発表した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」で、「在職老齢年金制度」の“廃止”を打ち出している。それを受けてオプション試算にも、緩和・廃止した場合の支給水準が示されているのだろう。

 ただ、ここにも落とし穴がある。

「今回、具体的に試算されているのは『65歳以上』の在職老齢年金を緩和・廃止したケースです。65歳以上の場合、支給停止の基準が月給と年金の合計47万円以上に上がる。対象者は36万人に過ぎず、この水準に達するのはかなり恵まれた層です。今後、対象者が減るとはいえ将来を案じながら60歳以降も働くことを選択した人の多くが苦しんでいるのは、60~64歳の28万円基準のほうなのに、そちらは廃止の“は”の字も出ていません」(社会保険労務士の北村庄吾氏)

 対象者が少なく、“見せかけのアメ”なのだ。

※週刊ポスト2019年9月13日号

最終更新:9/9(月) 16:00
マネーポストWEB

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