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京アニ・藤田春香初監督作『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』レビュー。この作品はすべての働く人への「手紙」だ

9/9(月) 21:00配信

FINDERS

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』を観終わって、涙と鼻水でダラダラになりながら思ったのは「仕事をちゃんとやろう」ということだった。今までもそのつもりだったけれど、もっともっと。そういうメッセージを僕は受け取った。

登場人物の一人、ホッジンズの言葉に、こんなものがある。

「してきたことは消せない。でも……君が自動手記人形としてやってきたことも、消えないんだよ」(クラウディア・ホッジンズ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』第9話)

その通りなのである。人の仕事は、消えない。人は、誰かの仕事に生かされている。いい仕事に触れると、人は嬉しくなる。『ヴァイオレット外伝』の仕事に、妥協なんて一切ないことは、観れば分かる。少なくとも僕は、この作品に自分が肯定されているように感じた。

制作スタッフの仕事だけではない。この作品自体が、人の仕事についてのお話なのだ。

誰もが観終わった後、「自分の仕事も捨てたもんじゃないな」と思える映画だ。そうやって自分に置き換えて考えられる、演出の巧みさがある。

ある姉妹の往復書簡と、それを支える仕事の物語

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は2018年にテレビ放送とNetfilxで配信されたアニメで、2019年9月6日から3週間限定で映画『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』が公開されている。

シリーズ1~13話と番外編1話をNetflixで観てから映画館に行くほうがより楽しめるのは間違いないが、『外伝』から観ても十分に理解できるだろう。

孤児だったヴァイオレットは、兵士=戦闘人形として育てられる。戦争の中で軍功を上げるが、終戦間近の決戦で両腕を失い、唯一の道しるべだった大切な人とも別れを経験してしまう。その人から最後に聞いた言葉の意味を知るために、彼女は「自動手記人形(ドール)」になる。ドールとは、誰かの代わりに、手紙を書く職業のことだ。

ヴァイオレットは仕事を通して成長し、欠落を違う形で快復させていく。失った両腕は、金属製の義手に。それは自動手記人形としての彼女の代名詞にもなっていく。そして代筆を通して、他の人の想いから、自分の想いを少しずつ分かるようになる。

『外伝』では、良家の子女が通う全寮制の女学校で希望を失って生きる少女、イザベラ・ヨークの教育係としてヴァイオレットが派遣される。最初は彼女を快く思わないイザベラだが、彼女が父親と交わした「契約」が明らかになり、ヴァイオレットたちの仕事が物語を動かしていく。

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最終更新:9/10(火) 0:24
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