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香川真司、別格の輝き。敵地でも「シンジ!」、サラゴサで生まれる新たなハーモニー

9/9(月) 13:11配信

フットボールチャンネル

 日本代表MF香川真司が所属するレアル・サラゴサは、現地8日にラ・リーガ2部第4節でアルコルコンに3-0の快勝を収めた。今季初の先発フル出場となった香川は、別格のクオリティで勝利に貢献している。試合後にはアウェイのスタジアムに「シンジ!」コールが響き渡った。(文:舩木渉)

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●サラゴサ、4戦無敗で2位浮上

 おそらくレアル・サラゴサにとって、現時点での今季ベストゲームになった。現地8日にラ・リーガ第4節が行われ、アウェイに乗り込んだサラゴサはアルコルコンを3-0で下した。

 これで開幕から4試合を終えて3勝1分と、サラゴサは無敗をキープしている。香川真司も4試合連続の先発出場で快勝に貢献した。ゴールやアシストこそなかったものの、4-3-1-2のトップ下で攻撃の起点となるプレーを連発し、移籍後初のフル出場を果たしている。

 過去3試合では主導権を握るのに苦しみ、相手にボールを支配される展開も多かったサラゴサ。だが、アルコルコン戦は序盤から手綱を握って離さなかった。12分にラファエル・ドゥワメナがGKをあざ笑うようなループシュートで先制点を挙げ、上々の滑り出しを見せる。

 香川も積極的にボールに絡みながら攻撃の起点となっていき、セットプレーでも存在感を発揮した。36分にはフリーキックでカルロス・ビガライの惜しいヘディングシュートを演出。そして39分にも、今度はコーナーキックからの流れで左サイドを突破してクロスを上げ、再びビガライのボレーシュートを引き出した。

 サラゴサは42分、相手のミスを突いて追加点を奪うことに成功する。ペナルティエリア内に落ちたロングボールの処理でセンターバックとGKがともに一瞬ためらった瞬間を見逃さず、ルイス・スアレスが突進。体勢を崩しながらも貴重な2点目を押し込んだ。

 後半もサラゴサが主導権を握る展開は変わらない。そして香川の輝きも、後半になってさらに増していく。特に58分の交代でハビ・ロスが中盤の左インサイドに入ってからは、より多くのチャンスメイクに関与して圧倒的な存在感を誇示した。

 最近2試合で先発の座を失っていた29歳は、優れたテクニックとプレービジョンを兼ね備えた司令塔タイプだ。中盤で安定したボールキープを見せ、繊細なパスで攻撃を組み立てていく。10番のハビ・ロスが最終ラインからパスを引き出して前を向くと、他の選手との距離感も良くなり、効果的にボールが動いていく。

●背番号10が勝利を引き寄せた

 香川も背番号10の恩恵を受けた。ボールを持ったまま前を向いてプレーできるハビ・ロスがいることにより、高い位置でパスを引き出すことができるようになる。前半は下がってボールをもらうこともあったが、よりゴールの近くでチャンスに絡めるのである。

 途中出場でチーム全体のクオリティを引き上げたハビ・ロスの貢献について、サラゴサのビクトル・フェルナンデス監督も試合後の記者会見で「素晴らしかった」と名指しで絶賛した。この背番号10の存在によって、香川の輝きも増し、終盤のさらなる追撃につながっていく。

 89分に香川は絶妙なスルーパスでラファエル・ドゥワメナのシュートチャンスを演出すると、続く90分には3点目の起点となった。左サイドの相手ボールのスローインから、サラゴサはカウンターを繰り出す。ボールは右サイドに流れ、走り込んだ香川は相手のマークを受けながら意表を突くヒールパスで味方にバトンを繋いだ。

 そして最後は右サイドバックのビガライが、ゴール前まで駆け上がってフィニッシュ。3-0としてアルコルコンの息の根を止めた。

 試合後、アウェイまで駆けつけたサラゴサのサポーターが陣取る席からは「シンジ!シンジ!」と香川を称えるコールが沸いた。スペイン2部において別格の技術の高さを見せる日本人MFのプレーに、現地のサポーターも心酔しているようだ。

●気を引き締める監督。サラゴサが見出す最適解は…

 ただ、香川本人は自らのプレーに満足していないだろう。試合中も厳しい表情と大きな身振り手振りでボールを要求する姿が目立っており、まだ自分の欲しいタイミングと場所に味方からパスが出てこない場面は多い。チームメイトからの信頼は勝ち取っていながら、早いテンポの中でボールに絡むシーンはそれほど多くない。

 それでもひとたびボールを持てば、卓越したテクニックは健在だ。相手の守備ブロックのライン間でパスを受けて前を向くプレー、シュートを演出するスルーパスの精度、セットプレーのキックなど、香川らしい持ち味を生かしたプレーで別格の存在であることを印象づけている。だからこそゴールやアシストという数字を残していなくとも、「シンジ!」コールが巻き起こるのだ。

 サラゴサは無敗のまま2位に浮上した。4節終了時点ではこの上ないスタートだと言えるだろう。とはいえビクトル・フェルナンデス監督は「我々は進歩し続けなければならない。成長のための大きな伸びしろがある。我々は競争心のあるチームであり続けなければならないし、寛大で、コンパクトで、互いを支え合うチームでなければならないとも思っている。ここにエゴはない。重要なのは勇敢で、意志を持ち、野心的であることだ」と気を引き締めた。

 香川は今後もチームの中心となっていくことに疑いはない。彼の強みを最大限に発揮しながら、それを結果に反映させるため、選手起用などでどんな最適解を見つけていくか。例えばアルコルコン戦で香川が背番号10のハビ・ロスと奏でたハーモニーは今後に向けて大きなヒントになりそうだ。サラゴサは勝利を重ねながら、徐々に最高の組み合わせも見つけつつあるのかもしれない。

(文:舩木渉)

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最終更新:9/9(月) 13:11
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