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残された実母と前を向いてもらうための支援~特別養子縁組という制度~

9/9(月) 19:00配信

BEST TIMES

―「親子とはなにか」と聞かれたら、あなたはどのように答えますか? 
 頭にまず浮かぶのは「一組の夫婦と、その間に生まれた子ども」でしょうか。しかし「親子」の関係はいつもこの形をとるとは限りません。
 人それぞれ考えや価値観に違いはありますが、「親は愛情をもって子どもを守り、子どもは親に守られながらしっかり育っていく」ことが親子関係の基本である点については、誰もが納得できるでしょうし、どのような親子の形にも共通するのではないかと思います。
 その一方で、心から望みながらも子どもに恵まれない夫婦が大勢います。そしてその両者が巡り会い、改めて親子になり、新しい幸せな生活をつくる機会は現在極めて少ないのです。
 このような子どもと夫婦をつなぐための制度に「特別養子縁組」があります。
 多くの方からの正しいご理解が得られ、議論と省察がより深められれば、国として進むべき方向もおのずと定まってくることでしょう。また、少子高齢化の糸口も必ずや見えてくるはずです。(『インターネット赤ちゃんポストが日本を救う』著:阪口源太、えらいてんちょう)

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 結婚への過剰な慎重さが生むデメリット

 妊娠がわかった途端、男性が逃げ出してしまい連絡がつかなくなるというのは、珍しい話ではありません。実際、私が運営していたNPOでも特別養子縁組の相談に来る人の中ではもっとも多かったケースです。深く考えずに関係を持った結果、相手が妊娠し、そうなってはじめて子どもが生まれた先の将来を考え、子育てをしていく将来に自信が持てずに逃げ出してしまう……というのが逃げ出した男性側の心理と考えられます。

 そもそも男性側が逃げ出す事態に行き着いてしまう不安は、どこから来るのでしょうか。

 その理由として大きく分けるとふたつの共通認識があると考えられます。

 ひとつは「出産と子育てにはお金がたくさん必要」という認識。そしてもうひとつは、「子どもが生まれることにより、以後の生活が一変する」という認識です。

 もう少し掘り下げてみましょう。一般に、子どもひとりを成人まで育てるのには、養育費と教育費を合わせて2000万~3000万円のお金がかかると言われています(AIU保険「AIUの現代子育て経済考2005」より引用)。

  妊娠した女性のおなかの中にいる子どもを「産む」のであれば、これだけのお金を用意しなければならない、その上結婚するともなれば、住居や車など必要なお金はさらに積み重なると想定されます。

 これまでは自分ひとりで生活していればよかったものが、突然結婚相手ができ、子どもが生まれ、その人たちと生涯暮らしていくことになる。経済的にも、これまでは自分が生きていくだけのお金を確保していればよかったものが、結婚生活にかかる費用、子育てにかかる費用、将来を見据えての貯金と、いきなりものすごい額のお金が必要になる。変化の大きさに戸惑い、自分が引き受けきれるか不安になる人が大半だと思います。

 日本人の平均結婚年齢、出産年齢は30歳前後と言われています。立派な成人であることに間違いはないですが、それでも80年ほどの平均寿命を考えれば半分にも到達していません。その上働きはじめてから10年程度ですから、まだまだ経済面の見通しはつきにくいものです。

 なかには学生を終えて2、3年で結婚、出産する人もいます。その場合はつい数年前まで「育てられる」側だったのが突然「育てる」側になるわけです。

 30年近く生きてきたと言っても、「育てられる」ばかりで「育てる」経験をしたことがない。結婚や出産は、それまで生きてきて「初めて」の経験になるのです。どのようなものでも、初めて経験することは不安に感じるもの。そういった意味ではこれは避けられない不安と言っていいでしょう。

 もちろん「男性が逃げてしまうのは仕方がない」などと言うつもりは全くありません。

 しかし、こうした事態が現実に数多く起こっている以上、減らすためにはどうしたらいいかを考える必要があります。

文/阪口 源太

最終更新:9/17(火) 20:21
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