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数学できる子・できない子を生む算数教育の盲点

9/9(月) 16:00配信

東洋経済オンライン

 日本では算数と数学を使い分けているが、多くの国々は算数の内容もMathematicsを用いている。この日本流の使用法にはプラス面もあるが、マイナス面も少なくない。代表的な誤解として「算数は基本的に計算ができればよく、説明文を書くことは中学校の数学からである」というものだ。算数でも一歩ずつきちんと説明する基礎を学ぶだけに、残念でならない。

 筆者は小学生に対する特別授業から、数学専攻の大学院生に対する授業まで、数多くの授業を受けもってきた。また算数の内容からガロア理論の内容まで幅広く著書を執筆した。大学生に対する授業も、文系・理系合わせて1万5000人の授業をほぼ半々ずつ担当し、いろいろな教訓を得た。

■算数の基礎を学ぶことで数学が得意になる

算数の学びに関する世間一般のアドバイスの多くは、中学校受験のためのテクニックに関するものが多いようだ。本稿は、本質的な数学の学びという視点から、算数の学びに関して指摘しておきたいと思う3点を述べたい。なお、近著『AI時代を切りひらく算数~「理解」と「応用」を大切にする6年間の学び』は、そのような視点で執筆した教育書である。

1.「すべて」と「ある」の言葉遣いを大切にする

 欧米人であれば、子どもの頃から「すべて(all)」と「ある(some)」の言葉遣いは毎日の生活の中で育まれる。日本はそうでないだけに、中学校の英語の授業で「all」と「some」をしっかり学ぶ。ところが、「not necessarily~」を「必ずしも~でない」と訳すだけで終わるように、その深い論理的な面までは目を向けていないようだ。

 実際、「すべての生徒はスマホをもっている」「ある生徒の身長は180cm以上である」の否定文を大学生に述べさせたことがある。

 それぞれ「すべての生徒はスマホをもっていない」「ある生徒の身長は180cm未満である」という誤った解答も多くある。正解は、「ある生徒はスマホをもっていない」「すべての生徒の身長は180cm未満である」となる。

 関連する算数の話題を1つ挙げたい。100人の生徒がいると、ある2人は誕生月、性別、血液型が一致する。なぜならば、(誕生月、性別、血液型)の全部でいくつの型があるかを求めると、12×2×4=96なので、96個の型がある。

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最終更新:9/9(月) 16:00
東洋経済オンライン

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