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仕掛け人が明かした『キングダム』がビジネス書として売れたワケ

9/9(月) 9:00配信

日経ビジネス

 起業家から大企業の経営幹部、気鋭のプロフェッショナルらが愛読するベストセラー漫画『キングダム』(原泰久著、集英社)。累計発行部数は4500万部を突破し、この春には映画化もされた。

【写真】「今、一番売れてる、ビジネス書。」三浦崇宏氏が手掛けた『キングダム』のキャンペーン。実際のビジネス書を彷彿とさせるタイトルで、『キングダム』1~30巻の表紙をずらりと並んでいる

 中国の春秋戦国時代を舞台に、類いまれなる武力を持つ戦災孤児の主人公・信(しん)が、中華統一を目指す秦の若き王・嬴政(えいせい)の下で、天下の大将軍を目指すストーリーに、多くのファンが魅了されている。

 兵を率いるリーダーシップ、数千人、数万人規模の兵をまとめる組織づくり、部下を育てる人材育成、そして戦略や作戦、戦術の練り方など――。多くの学びが、『キングダム』には盛り込まれている。

 本連載では、キングダムを愛読する起業家から大企業の経営幹部、気鋭のプロフェッショナルらに取材。『キングダム』から何を学び、どう経営に生かしているのか聞いた。今回登場するのは、広告業界で今、大いに注目されているThe Breakthrough Company GO代表の三浦崇宏氏。『キングダム』が単なる歴史や戦争を扱ったマンガではなく、ビジネス書として読まれるようになった背景には、三浦氏が仕掛けたプロモーションがあった。「今、一番売れているビジネス書」として、実際のビジネス書を彷彿とさせるタイトルで、『キングダム』1~30巻の表紙をずらりと並べたキャンペーンは話題を呼んだ。そもそもなぜこういった仕掛けを考えたのか、話を聞いた。(構成/井澤 梓)

――『キングダム』がビジネス書として注目されるきっかけが、三浦さんが仕掛けたキャンペーンにあるとうかがいました。まずはどのような経緯だったのか、教えてください。

三浦氏(以下、三浦):もともと僕は、博報堂のクリエイティブディレクターとして、『キングダム』を出版している集英社を担当していたんです。当時は「週刊ジャンプ」の45周年や50周年のプロモーションなどを仕掛けていました。

 僕が博報堂でクリエイティブディレクターに就いて始めて手掛けたのも集英社の仕事で、とても思い入れの強いクライアントでした。ただその後、独立して、今はGOという会社で、クリエイティブの力を生かした新規事業開発のコンサルティング、あるいは広告やPRなどを手掛けています。

 博報堂から独立するに当たって、当時の担当企業の仕事を一旦、終了することにしたんです。集英社とのお仕事も、僕が独立したのをきっかけに離れました。

 それから何年か経って、純粋な『キングダム』ファンとして50巻突破記念キャンペーンを見かけました。ちょうどその頃、『キングダム』の担当編集が、大学時代の友人であることを知ったんです。

 懐かしい思いで彼に連絡をして、『キングダム』の担当編集なんてすごいね!というやりとりをする中で、50巻キャンペーンの話になりました。その場で僕はふと、「例えばビジネス書として売る方法もあるんじゃないか」といったアイデアを打ち明けたんです。

 『キングダム』は50巻まで続く中で、これまで十分に開拓できる層は押さえてきています。「ヤングジャンプ」ファンやバトルマンガのファン、戦国マンガファン……。「漫画」という文脈で囲い込めるであろう層はみんな読んでいる、というくらい、『キングダム』は人気のあるコンテンツです。

 ですから、これから読者層を広げるのであれば、全く新しい層を取りに行かなくてはいけません。最初は僕のアイデアに驚いていた担当編集とも話が弾み、一緒に仕事をしようと盛り上がりました。

 とはいえもちろん、育ててもらった古巣から仕事を奪うわけにはいかないので、博報堂の担当者に相談して、博報堂とGOでタッグを組む形で『キングダム』のキャンペーンを手掛けることになりました。

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最終更新:9/9(月) 9:00
日経ビジネス

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