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この一球に全力を――2人の左腕、必勝の誓い/FOR REAL - in progress -

9/10(火) 10:59配信

週刊ベースボールONLINE

優勝を目指して戦う横浜DeNAベイスターズ。その裏側では何が起こっているのか。“in progress”=“現在進行形”の名の通り、チームの真実の姿をリアルタイムで描く、もう一つの「FOR REAL」。

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 雷鳴の轟きとともに始まった一週間は、厳しい戦いの連続になった。

 木曜日は3回に6失点、金曜日は4回までに7失点、土曜日は3回までに7失点。打線の反撃も厚みに欠けた。プロ初先発の齋藤俊介が5回1失点と奮闘した日曜日の試合も落として、4連敗で週を終えた。

 振り返れば、水曜日のタイガース戦、延長戦のすえの勝利は貴重だ。

 キャプテン筒香嘉智のサヨナラ2ラン。滅多に見せない派手なガッツポーズ。放物線を描いた打球は横浜スタジアム右翼席のどこかに消えた。

 ベンチ脇のファウルグラウンドから、E.エスコバーはそれを見届けた。9回から登板、10回も三者凡退で相手打線を封じて、同点のままなら11回のマウンドに上るつもりだった。

 エスコバーは言う。
「『神様、ありがとう』と思って見ていたよ。接戦のタフな試合だったからね。チームが勝ってよかったし、自分としても、翌日の疲れが多少は減るんじゃないかなって」

「ぼくだって人間だから」

 9月4日、サヨナラ勝利によって5勝目を手にしたエスコバーの登板数は、リーグ最多の66試合に到達した。S.パットンが保持していた、外国人投手によるシーズン最多登板の球団記録(62試合)を大きく更新している。

「シーズンが始まる前、自分の中では70試合登板を目標に設定していたんだ。そこに向かって、オフの間も、シーズンに入ってからも、ずっと怠けることなく努力してきた。いい結果につながっているし、誇りに思う。残りの試合も一戦一戦、しっかりやっていきたい」

 エスコバーが日本球界左腕最速となる160kmをマークしたのは6月のことだった。以降もほとんどフル稼働で腕を振り、シーズンの終わりに近づいても球速は衰え知らず。本人が「努力」の一言でさらりと語ったその内実を、今永昇太が教えてくれた。

「もちろん、外国人ならではの体の強さという理由もあるとは思います。でも、エスコバーは試合のことばかりがフォーカスされがちですけど、練習態度が本当にすごい。雨の日でも絶対にポール間を走るし、トレーニングもきっちりする。野球に対しての真摯な姿が随所に見られるんです。そういう日々の取り組みが、ここまでケガをせずに、コンスタントに速い球を投げ続けられている理由だと思います」

 今永はさらに言う。
「正直、エスコバーのピッチングには本当に惚れ惚れする。バッターがまっすぐ一本で待っているところにまっすぐを投げ込んで、それでも打てない。ぼくもあんなピッチングができたらどれだけ楽なんだろう、と思いますね」

 2試合に1試合の登板ペースに、ファンは心配の声を挙げる。そんなにも投げて大丈夫なのか。疲れは溜まっていないのか――。

 エスコバーは微笑んだ。
「野球はぼくの人生だ。投げることも、プレーすることも大好きなんだ。たしかに疲れることはある。ぼくだって人間だからね。でも、ファンの力が、ぼくを支えてきたんだよ。自分にできるのは、残りの試合もチームに貢献すること。優勝をつかみ取って、ファンのみんなに恩返しがしたい」

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最終更新:9/10(火) 11:17
週刊ベースボールONLINE

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