ここから本文です

ソフトウェアが犯罪に使われたら、プログラマーは法的責任を負うのか?

9/10(火) 12:12配信

WIRED.jp

イリノイ州の連邦地方裁判所が今年に入って、プログラマーのジテシュ・タッカーに対する米国政府の訴訟を棄却した。タッカーは、犯罪に使われたコードを書いたとして訴えられていた人物である。

プログラムのコードには、個人を識別できる“指紋”が残されている

この訴訟が棄却されたからといって、プログラマー全般が法的責任を問われないわけではない。遠くない将来、プログラマーに対する訴訟は増えていくだろう。

世界のプログラマーへの警告

米司法省は2018年1月、タッカーを含む7人を「スプーフィング」で訴えた(ここで言うスプーフィングとは、アルゴリズムを使って市場をだます行為である)。タッカーが作成したアルゴリズムによって、ある英国人トレーダーが株式市場の先物需要を人為的に誇張できるようになったというのが、その理由である。

このトレーダーは、タッカーのアルゴリズムと別の開発者が制作したソフトウェアを併用することによって、米国株式市場で「フラッシュクラッシュ(瞬間暴落)」を引き起こした。この結果、わずか36分間で米国株の時価総額が1兆ドル(約106兆円)も失われたという。

今回のタッカーに対する訴訟は、世界中のプログラマーへの警告だととらえなければならない。

プログラマーは、コードを書いているときは「合衆国憲法修正第1条(表現等の自由)」で保護されていると思っているかもしれない。だが、そうもいかない場合もあるのだ。また「自分は雇われただけで、製品の使い方は雇い主が決めている」という場合は責任を問われないと考えるのも誤りだ。

実際、プログラマーが制作した製品に対する責任を問われる可能性はかなり高い。この点が明確になったのは、米証券取引委員会(SEC)が18年11月に、仮想通貨取引プラットフォームとされるものの開発者に対して、未登録取引の運営に寄与したとして38万8,000ドル(約4,120万円)の罰金を科したことだった。

デジタル的な言論の自由を主張する電子フロンティア財団(EFF)は、この決定に対して懸念を表明している。SECによる決定の書き方は、「コンピューターコードの作成と公開に従事しただけで米国の証券取引法に抵触する可能性があると示唆している、と読まれる恐れがある」と指摘したのだ。

しかし、「恐れがある」という表現は不適切と言っていい。現状は疑いなく、法的リスクの新局面にある。

1/3ページ

最終更新:9/10(火) 12:12
WIRED.jp

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事