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大宮を救ったイッペイシノヅカ。ロシア代表とJ1昇格の二兎を追う。

9/10(火) 11:31配信

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 大宮アルディージャを救ったのは、イッペイシノヅカだった。

 FC町田戦、1点ビハインドの後半最初から左ウイングバックの吉永昇偉に代わって出場した。

 前への推進力を見せて流れを大宮に引き寄せ、追撃のムードを作ると、後半28分には右からの三門雄大のクロスを軽くヘディングで合わせて同点ゴールを決めた。

 「ゴールは、ここに来たらいいなって思って走り込んだら相当いいボールが来たんで、これは決めるしかないなって。ヘディングは珍しいですけど、まぁヘディングでもなんでもゴールになったのはうれしいです。

 今はウイングバックなので、自分が点を取りたいという意識もあるけど、チームのためにセンタリングとかアシストができれば満足。ただ、その中で自分が点を取れたのは勢いがつくし、自分の自信にもつながります」

 極めて価値のあるゴールだった。

 愛媛、甲府に連敗している大宮にとって、町田戦は落とせない試合だった。敗れればJ1自動昇格の2位内が霞み、チームも自信を失いかねない。そういう中、イッペイシノヅカのゴールで上り調子の町田から勝ち点を奪ったことは非常に大きく、順位も5位ながら2位の横浜FCと勝ち点2差に踏みとどまることができた。

夏の移籍は即結果が求められる。

 イッペイシノヅカ自身にとっても、大きなゴールだった。

 横浜F・マリノスから大宮に完全移籍してきたのが、7月4日。

 23節の京都戦でデビューすると、つづく24節の山口戦から左ウィングバックのレギュラーポジションを獲得し、7試合連続でスタメン出場を果たした。

 だが、ここまで得点はゼロ。夏の移籍は即戦力ゆえに結果が求められる。イッペイシノヅカ自身も「プレッシャーじゃないけど、期待値が高いと思うんで、点が取れていなかったことは歯痒かったし、モヤモヤしていたものがあった」と、チームの勝利に結果で貢献できていないことに責任を感じていた。

ロシアで育った仕掛ける力。

 だが、移籍後初ゴールが連敗ストップとなる貴重な同点弾になった。

 「ホッとしました。でも、もっと決められるチャンスがあったと思うんで、チームを勝たせるためのゴールを決められたらいいなって思います」

 大宮では主に左ウイングバックを任されているので、ゴールまでの距離が遠い。それでもボールを持った時は、積極的に仕掛ける。町田戦でも相手が2人で挟み込もうとしてもそこを突破していく積極性を見せた。

 その姿勢は、まさにロシア仕込みだ。

 イッペイシノヅカは17歳の時、ロシアのスパルタク・モスクワと3年契約を結んだ。ユースチームに入り、全国ロシア・クラブユース大会に出場して2得点を挙げ、大会ベストMFに輝くなど将来を嘱望された。

 チームではトップ下やサイドハーフとしてプレーしていたが、どのポジションでもロシアではとにかく仕掛ける積極性が求められる。イッペイシノヅカもドリブルを武器として磨き、果敢に仕掛けるプレーをしていた。

 「ロシアでは、結果を出さないと上(トップチーム)に行けないので、そのためにはとにかく自分の良さを出すことしか考えなかったです」

 大宮でも失敗を恐れず、果敢にトライする。三門は「あいつは外国人」と、その攻撃力と自己主張の強さを高く評価している。

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最終更新:9/10(火) 11:31
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