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「ユナイテッド93便を撃墜せよ」と命じる権限はチェイニー副大統領にあったのか

9/11(水) 19:00配信

クーリエ・ジャポン

大統領と国防長官がいない!

2001年9月11日、アメリカが同時多発テロに襲われた朝、ホワイトハウスの地下室では誰がどのような決定を下していたのか──。

ジャーナリストで歴史家のギャレット・グラフが新著『The Only Plane in the Sky: An Oral History of 9/11(飛んでいた唯一の航空機:9.11の口述記録)』の中で、当時の米政府内の意思決定の様子を詳細に書き記している。

その日、ハイジャックされた航空機は4機。2機はマンハッタンのワールドトレードセンターに突っ込み、1機はワシントンの国防総省(ペンタゴン)に激突した。残りの1機「ユナイテッド航空93便」は、ワシントンのホワイトハウスまたはキャピトルヒル(米議会)を標的にしていたとされるが、上空で乗客らがハイジャッカーと戦った末に、ペンシルベニア州に墜落した。

この93便がワシントンに向かっていると知り、ホワイトハウスから撃墜を命じたのが、チェイニー副大統領だった。93便は結局、撃墜命令が出される前に墜落したのだが、民間人を乗せた旅客機を「戦闘機で撃ち落とせ」と命じる権限が、チェイニーにあったのかどうか、ギャレットは疑問を呈している。

ギャレットが「ヒストリー・チャンネル」のウェブに寄稿した記事によれば、そのような命令が発せられる場合の指揮系統は、大統領から国防長官、そして軍の指揮官へという順番になっている。

だがその日、ブッシュ大統領はフロリダで教育関連のイベントに出席しており、ホワイトハウスにいなかった。また、ラムズフェルド国防長官はペンタゴンが攻撃された直後に現場に駆けつけていたため、連絡が取れない状態になっていたという。緊急時の対応プロトコルでは、国防長官は即座にホワイトハウスの地下に避難すべきなのだが、ラムズフェルドはこの手順に従っていなかった。

海軍司令官は何度も確認した

こうして、ワールドトレードセンターに2機目が突っ込んだ後、ホワイトハウスの地下のバンカーに避難したのは、チェイニー副大統領、ライス大統領補佐官、バーンズ海軍司令官などだった。ペンタゴンやCIAから地下バンカーに入ってくる情報は錯綜し、情報の精査がきわめて難しい混乱状態だったという。

大統領と国防長官不在のなかでチェイニーに突きつけられたのは、あと何機がハイジャックされているのかを確認し、その対応を決めることだった。

午前10時12分から18分の間だったと、バーンズは振り返る。彼がギャレットに語ったところによると、バーンズは次のようにチェイニーに撃墜の許可を仰いだという。

「ペンタゴンからハイジャックを確認した旅客機の撃墜を許可してほしいと連絡が入りました。私がそのことを副大統領に伝えると、許可するとの回答でした。念のためにもう一度、確認しました。『副大統領、許可を与えるとの理解で間違いないですね?』と」

「私は軍人として、その質問と答えの意味がどれだけ重要なものかわかっていました。だから決して間違いがないように明確にしておきたかったのです。副大統領はためらうことなく、ハイジャックが確認できた航空機は撃墜してよいと答えました」

チェイニー自身、のちにこう語っている。

「やらねばならなかった。たとえテロとは関係のない乗客が大勢いたとしても、ニューヨークとペンタゴンで起きたことを見た後では、ほかに選択肢はなかった。私の決断は苦渋の選択ではなかった」

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最終更新:9/11(水) 21:31
クーリエ・ジャポン

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