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預金引き出しで警察通報も 高齢者の「年齢制限」が社会問題化

9/11(水) 15:00配信

マネーポストWEB

 飲酒や車の免許取得など、若い頃はできることが増えていく“嬉しい関門”だった「年齢制限」。それが逆に歳を重ねたことが理由で「できなくなること」が出てきてしまう。

 都内在住、70代半ばの男性はこう肩を落とす。

「私は独身で子供もいません。現役引退後、元気なうちに少しだけ貯めたお金で海外旅行をしたいと思い、銀行の窓口で旅行費用の200万円を下ろそうとしたら、『ちょっと待ってください』と声をかけられました。

 名前や年齢を聞かれた後、幹部らしき行員まで出てきて、詐欺被害を心配されたのか、『何に使うのか』『家族は知っているのか』などと、30分以上も押し問答が続いたのです。途中で『通報の義務がある』と警察まで呼ばれそうになりました。なんとか旅行会社に連絡がついたのでお金は下ろせましたが、年寄りというだけでこんな思いをするなんて……」

 金融機関の窓口では、しばしばこうしたやり取りが起きており、「高齢者制限」や「シニア版年齢制限」がにわかに社会問題化しつつある。

 8月5日付毎日新聞の特集〈自分の預金が下ろせない? じわり広がる“高齢者制限”〉は、預貯金を引き出す際に使途の詳しい説明を求められるなど、高齢者に対する現金引き出し制限などに触れ、〈早ければ60代から「自分のお金が自由に使えない」状況〉が生まれていると報じた。記事では、70歳以上の女性が銀行の貸金庫を利用しようとした際、「契約には代理人が必要」と言われた事例も紹介されていた。

 実際に今年1月から、りそな銀行と埼玉りそな銀行は、詐欺被害防止策として、過去3年間にキャッシュカードによるATM利用がない70歳以上を対象に1日の引き出し・振り込み額の上限を10万円に制限している。年齢や限度額はさまざまだが、高齢者の利用が多い信用金庫を含め、同様の対応を実施する金融機関は多い。

 地域の警察と連携するケースもあり、千葉県警浦安署では60歳以上、大阪府警富田林署では65歳以上の人が100万円以上引き出す場合、警察への通報を求めている。

 金融機関側の“詐欺被害を防止したい”という姿勢が、結果として一部に「自分の預金すら自由に下ろせない」という状況を生んでしまっているのだ。

※週刊ポスト2019年9月20・27日号

最終更新:9/11(水) 15:00
マネーポストWEB

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