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田中圭『あな番』でバズった 考察 という新たなドラマの楽しみ方

9/11(水) 16:01配信

FRIDAY

9月8日に最終回を迎えた日本テレビ系ドラマ『あなたの番です』が、視聴率19.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を叩き出すという快挙を遂げた。

【写真】有終の美を飾ったドラマ『あなたの番です』ロケの様子はコチラ

このドラマは、マンションで起こった交換殺人をめぐるミステリー作品。日テレとしては約25年ぶりとなる異例の2クール連続ドラマで、田中圭と原田知世が主演を務めた。

最大の特徴は、視聴者によって番組終了後に行われるSNSでの犯人探しや伏線の解釈などの「考察」が異様なほどに盛り上がったことにあるだろう。

◆異様な盛り上がりを見せた「考察」チャンネル

『あな番』では登場人物の言動のほか、物語の主軸となる『交換殺人』の謎や、それとは無関係な殺人など、ディテールに散りばめられた多くの「仕掛け」が登場する。そして最終回まで“黒幕”がわからないとあって、視聴者はさまざまな推理や「考察」をしたい欲望にかられるのだ。

YouTubeで「あなたの番です 考察」と入力すると、ドラマの「考察」に特化したチャンネルがズラリと並ぶ。

現役東大生のお笑い芸人・XXCLUBの大島育宙氏も考察を行った1人。YouTubeで『あな番』の考察動画を投稿すると反響はすさまじく、最終回直後にアップロードされた動画の再生回数は30万回を超えた。「考察」を始めた理由について、大島氏はこう語る。

「もともとYouTubeでは、映画の考察やレビューを配信していました。あるときから、“『あな番』の考察をしてください!”というダイレクトメールがSNSに毎日のように届くようになった。そこで、『Hulu』で一気に最初から観てみたらハマってしまいました。これは面白いかもと思って、考察動画を始めたんです」

ほかのテーマの動画にくらべて、この考察動画の再生回数は、桁違いだった。それだけ、『あな番』の「考察」は世間で“バズっていた”のである。

「ドラマの終盤に、必ず翌週も観たくなるフックがありました。その仕掛けは、誰の目にもわかるもの。日本では、そういう作りのドラマが今までなかったように感じます」

放送終了後、できるだけすぐに動画を投稿していた大島氏。これにも理由がある。

「考察は、放送翌日の学校や職場で“あれ、見た?”と感想を言い合う場が、ネット上に移ったような感覚なんです。考察をするためだけに、新たにアカウントを作った人も多かった。1人暮らしの人や、家族といっしょにテレビを見ていない人などで、すぐにでもドラマの内容を誰かと話したいという人はたくさんいるんです。なので、スピード感は大事だと思いました。番組を見て、情報交換すること自体が楽しいと感じた人がすごく増えたように感じます」

「カルテット」「3年A組」で始まった「考察」

視聴者の「考察」がSNSで盛んに行われたドラマといえば、‘17年1月期に放送された松たか子が主演を務め、満島ひかり、松田龍平、高橋一生が出演したドラマ『カルテット』(TBS系)がその「走り」かもしれない。

「このドラマの登場人物はみな、秘密を抱えているキャラクター。意味深なセリフや表情、突然変わる呼び方などの細かなやり取りが、物語の大筋につながっていることが多かったんです。そこで、張り巡らされた伏線について考える人が増えていきました。このドラマも番組終了直後には、Twitter上で激論が交わされ、番組プロデューサーがその現象についても触れていましたね」(テレビ誌ライター)

『あな番』と同じ時間枠で、今年1月から3月まで放送された、菅田将暉主演のドラマ『3年A組~今から皆さんは、人質です』も最後の最後まで高校教師の真の目的が秘められており、視聴者の憶測や「考察」を呼ぶドラマだった。

なぜこのようにドラマの「考察」現象が起こるのだろうか。前出の大島氏は、『あな番』考察について、ドラマの制作側にとっても“想定外”だったのではないかと分析する。

「制作陣は、当初からこのような考察現象を念頭に置いていたわけではないと思います。あるときから考察がどんどん盛り上がり、それに気づいた制作側も“あなたの考察は当たりましたか?”とSNSで発信するようになっていきました。考察をする視聴者と制作側とで意思の疎通ができているかのようなドラマは、現代ならではだと思います」(大島氏、以下同)

考察現象が加速したのには、ドラマ本編に潜んでいた伏線もさることながら、出演者の全面協力、そして動画配信サービスの存在もあったからだろう。

「『あな番』では、役者さんそれぞれが積極的にSNSで告知をしていたのも大きいように感じます。物語のヒントになるようなことを投稿したり、出演者のほとんどが告知動画に協力したりと、ドラマ以外の場所でも視聴者の心を『掴んでいった』んですね。ドラマ番組のSNSとしては、とてもいい成功例ですね。

また、2クールにわたる長いドラマでしたから、『Hulu』で全話配信されていたのは大きかった。見逃してしまった人はもちろん、毎週見ている人でも、細部への描きこみを拾いたい人もいるでしょうし、スピンオフのオリジナルストーリー『扉の向こう』にも本編では描かれない新しい情報がありました。誰でも簡単にドラマを振り返ることができる環境が整ったことも、考察ドラマが流行った一因ではないでしょうか」

動画配信サービスやSNSまでを利用した「考察」という新たなドラマの楽しみ方は、今後ますます増えていくのかもしれない。

文:小泉カツミ

FRIDAYデジタル

最終更新:9/11(水) 16:01
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