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【マラソン】高橋尚子氏が語るMGC女子展望 スローペースになったら持ち味を出しやすい、余計に展開が混沌とする可能性も

9/11(水) 8:01配信

ベースボール・マガジン社WEB

東京五輪マラソン日本代表決定戦「マラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)」が9月15日(日)、男子は8時50分、女子は9時10分に、東京・明治神宮外苑いちょう並木からスタートを切る。男女各上位2名がオリンピックの代表権を手にする一発勝負の選考会。高橋尚子氏に女子の展望を占ってもらう。12選手が出場する女子は、互いに特徴を理解し合っている少人数の争いゆえ、その駆け引きに注目が集まる。高橋尚子氏はコースの特徴等、選手目線の考察を交えながら、勝負のキーポイントを挙げる。※陸上競技マガジン9月号(8月10日発売)より転載

渡辺康幸氏が語るMGC男子展望 一発勝負、早い段階で勝負に出る選手が出てくるのでは?

コースと勝負のポイント

――まず、今回のコースは高橋さんが現役時代に走られた東京国際女子マラソンのコースとかぶっている部分も多いです。

高橋 全く同じではありませんが、失速したコースでもあり、復活したコースでもあります(笑)。

――さて、今回のMGC女子のレース展開はどのように予想されていますか。記録に関係なく、上位2名が代表権を獲得します。

高橋 今回はタイムと勝負、両方を追うレースにはなりません。基本的には勝負(順位)に徹するレースになりますので、前半はスローペースで進むと思います。スタートからの5kmはおおよそ下りのコースなので、まずは各選手にとって、ここをいかにていねいに走るかが最初のポイントとなります。我慢し切れずに前に出る選手がいたり、逆に押し出されたりする選手もいるとは思いますが、総じてスローペースで入って、20km辺りから各選手が勝負どころを見極めつつ、30km過ぎからが本当の勝負になる、というのが基本的な予想しうる展開だと思います。

――下り中心のコースが序盤にあることの影響は。

高橋 実際に走ってみると、地図で見るような 「あ、5kmは下りなんだ」というコースではなく、最初は上り下りが意外にありますが、気持ちが上がっているなかでスタートするので、気づかないうちにスピードに乗りすぎることに注意。そうなると次の5kmに入るときには体も温まって、「今日は行ける!」と思いやすい。私はそれを「悪魔の誘惑」と呼んでいますが、その誘惑に引きずられてペースを上げていってしまうと、20km以降でパタッと止まってしまったりするのです。これはトップ選手、一般ランナーにも共通していえることですが、とにかく10kmまでは相手のことより、自分のリズムで、しかも無理やりではなく自然に走っていけるか。10~20kmは、ある程度、平坦なコースが続くので、力を温存していく選手が多いと思います。飛ばない、蹴らない、跳ねない走りでいかに後半に力をためていくか。
 幸い10kmは日本橋、15mで浅草の雷門、20mでまた日本橋と、きりの良い地点に、覚えやすいポイントがあることも選手にとってプラスの要素です。というのもレースの前半は、こうした大きな目印が5kmくらいの長い単位で存在していることは、選手が落ち着いて走るには好環境なのです。これが17.3kmで日本橋とかになると、いろんな情報が頭に入りすぎて、気持ちが疲れてしまう。逆にレース後半は分かりやすいポイントが短い距離の範囲にある方が「まずはあそこまで」と目標を立てやすく、頑張りにつながります。

――20km地点までは、仕掛ける選手は出てこない。

高橋 そうですね。仮に一時的に仕掛けた選手が出ても、そこが勝負にはならないと思います。MGCに出場する選手たちは皆、20kmまでは余裕を持っていける選手ばかりなので、どんなペースになるかは分かりませんが、やはり勝負が動き始めるのは20km以降になると予想しています。
 それ以降のコースでは、20~25km(東京タワーのある芝公園)、30~35km(皇居近くの二重橋前)に折り返しポイントがあることも選手にとっては走りやすいと思います。というのも、仮にどの位置に付けていても、(折り返しですれ違うため)周りの状況、また他の選手の表情を自然と確認できるからです。通常、相手の様子を見ようとすると、後ろを振り返ったりしますが、それは時として不安の裏返しだったりします。そうなると見られた方に、「相手は結構、きついのかも」と悟られたりする。それが折り返しでは振り返らずに状況を確認できるので、1回作戦を立て直す機会にもなります。選手たちにはその2カ所の折り返しをうまく利用してもらいたいと思います。

――レース後半で勝負どころとなるのは、どの辺りでしょうか。

高橋 私自身もこのコースを試走しましたが、私が仕掛けるなら一度目は日本橋を過ぎた28~32km地点です。同時にその間にある給水地点も一つのポイントで、世界大会でも勝負どころとなります。集団がバラけてスパートがかけやすい。給水を早く取れる選手は有利ですが、給水テーブルが先で、早く取れない選手も、周りの様子をしっかり把握しながら走らなくてはいけません。もしその時点で集団が12人であれば、スパートではなくギアを上げて、人数を絞ることを考えます。
 その上で35~37kmで仕掛ける。39~40kmで大きな上りが二つあるので、その前に差をつけていきたい。カーブもいくつかあるので、そこで差をつければ後続の選手には視覚的なダメージを与えることになるからです。ただ、今回の12人の中でその仕掛けをする選手が出てくるかどうかは分かりませんが。

――昨年は6月から熱暑、今年は7月下旬まで涼しい日が続いていましたが、レース当日の気候は、レースにどのような影響を及ぼすでしょうか。

高橋 皆さんからもよく聞かれますが、当日どうなるかは本当に分からないですからね。正直、考えても仕方がない部分ではあります。私が1998年のバンコクアジア大会で当時の日本最高記録を出したときは、ゴール時は気温32度、湿度も90%近くありましたし、今回は9月15日の9時スタート、もしかしたら来年の8月6日の6時よりも暑い環境でのレースになる可能性もあります。基本は暑くなることを想定して準備することは大切ですが、必要以上に意識することはないと思います。

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最終更新:9/12(木) 9:26
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