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先住民もアマゾンの森を何千年も焼いてきた、今の火災との違いは?

9/11(水) 17:18配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

古生態学があぶりだすアマゾン森林火災の深層

 アマゾンはいまも燃え続け、煙が立ちのぼり、炭の微粒子が地面に降り積もっている。最新の集計では、ブラジルのアマゾン火災は9万3000件を超え、昨年の同時期より60%以上も増加した。これは、2010年以降で最多の件数だ。NASAによると、今年の火災は過去数年と比べても激しいという。

ギャラリー:アマゾン森林火災、放火の現場から無残な焼け跡まで 写真10点

 しかし、ブラジル国立宇宙研究所(INPE)の火災の記録は、1998年からしかない。木は数百年を生き、人が森に火をつけてきた歴史は何千年にも及ぶ。そうした森にとって、20年は長くはない。

 その一方で、古代の環境を研究する古生態学というものがある。アマゾンの先住民がどのように火を使ってきたかや、その火が長年にわたり森の生態系にどのような影響を及ぼしたのか、そして、現在の火災を防ぐかもしれない教訓について、他では得られない洞察を私たちに与えてくれる研究分野だ。

 たとえば、熱帯雨林の地下に埋まる炭の層を調べた研究により、アマゾンの古代の住民たちが何千年もの間、農業のために火を使って林床を焼き払っていたことが判明している。さらに、その影響がずっと残り、こうした地域は今日燃えやすい森になっていることもわかっている。しかしながら、森を完全に焼いてしまう現在とは異なり、先住民は生きた木が残るように火を使っていた。

自然火災の痕跡はまったくない

 アマゾンの湖底や土壌からサンプルを採取し、木が燃えた後に堆積する炭の小さな欠片を調べた古生態学の研究がある。フィールドワークは大変だ。研究チームはボートと重い機器を背負い、森を抜けて人里離れた湖まで移動しなければならない。そうやって湖底の堆積層のコア試料(柱状採取した試料)を掘削し、放射性炭素を分析して木が燃えた年代を測定した。

 この数千年の記録からまずわかるのは、アマゾンには実質的に自然火災がないことだと、米フロリダ工科大学の古生態学教授のマーク・ブッシュ氏は言う。

「アマゾンの西部から採取したコアには、火災の痕跡がまったく見られない層が4000年分も続いていたのです。炭も一切ありませんでした。そして、アマゾン西部は、アマゾンで最も湿潤な地域というわけでもないのです」とブッシュ氏は話す。

 ほとんどの熱帯雨林の木は、樹皮が薄く、土壌の表層にしか根を張らず、火に耐えられない。そこに生息する動物は言うに及ばずだ。

「火は、生態系にとって完全に異質で、状況を一変させる要因です」とブッシュ氏。「生態系の上から下まですべてに影響を及ぼし、焼けた場所が再び熱帯雨林とわかるまでに回復するのに、相当な年月がかかるでしょう」

 ヨーロッパ人が到来する以前に、熱帯雨林への人間の影響がどの程度だったのかについては、論争が続いている。だが、火災が起きるのは、人が火をつけた場合だけだということには誰もが同意している、と同氏は言う。

「火の痕跡は、アマゾンでは人間の痕跡に他なりません。トウモロコシやキャッサバの栽培です。何が起きていたかはよくわかります。同じ人間のやることですから」

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