ここから本文です

準優勝メドベデフ「全身全霊で戦った、僕のために観客のために」 [全米テニス]

9/11(水) 12:03配信

テニスマガジンONLINE

「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月26日~9月8日/ハードコート)の男子シングルス決勝----1週間前には、USオープンの観客たちがダニール・メドべデフに大声援を送るなどと想像し難いことだった。ブーイングを愛し、自分を野次れば野次るほど自分は勝つのだと挑戦的に言っていた男がその日曜日に突然、自分への声援を耳にしたのである。メドベデフはそのプレーによって観客の心を勝ちとった。そして、そのふるまいによっても。

USオープン2019|トーナメント表

 コート上の勇気ある奮闘には、試合後の慎ましい言葉が続いた。彼は初めてのグランドスラム決勝での5-7 3-6 7-5 6-4 4-6の敗戦のあと、ラファエル・ナダル(スペイン)に祝福の言葉を述べ、観客に挨拶をした。

「素晴らしい試合だった。驚きのストーリーだった」とメドベデフは振り返った。

「この夏を通し、僕にとって驚くべき経験だった。僕はすべての瞬間を心にとどめることだろう」

 23歳のメドベデフは試合後のコート上のスピーチでユーモアに富んでいるところを見せ、初めはより早く終わるように見えていた4時間50分のスリルある熱戦ですでに楽しみを与えられた観客たちに追加的エンターテイメントを提供した。

 ナダルは最初の2セットを取り、それから第3セットでもメドベデフのサービスをブレークして3-2とリードした。USオープン決勝で2セットダウンからカムバックして勝った選手はここ70年で誰一人おらず、ナダルがグランドスラム大会で2セットリードから逆転負けしたことは一度しかなかった。

 しかしメドベデフは、より長くとどまりたがるアーサー・アッシュ・スタジアムの観客に後押しされて戦い続けた。

 そして結果的に、ずっと長くとどまることになったのである。

「驚くべきパフォーマンスだった。彼はこの経験から学び、これからどんどん強くなっていくことだろう」とメドベデフのコーチであるジル・セルバラ氏は教え子の健闘を称えた。

「素晴らしい試合だった。第5セットで彼はついにやってのけるのではないかと感じていたので、我々は非常にがっかりしている」

 第3、第4セットの最後のゲームでナダルのサービスをブレークしたとき、そして第5セットでもうだめかと思われたときにも、彼は諦めることを拒否した。彼はナダルが5-2からサービスに入ったゲームでブレークを果たし、最後のゲームでも再度ブレークチャンスをつかんだ。しかしナダルはそこで踏ん張り、ついに試合を終わらせることに成功した。

 その頃までには、観客の多くがメドベデフの名を叫んでいた。

「僕はすべてのポイントで戦っていた。彼らはそれを評価したのだと思うよ」とメドベデフは自己分析した。

「彼らのために全身全霊を込めて戦い、すべてを出し尽くさなければならないのだとわかっていた。第一に僕自身のために、しかし観客たちのためにも。彼らはそれを見てとり、その価値を認めてくれたのだと思う」

 それから表彰式の際に、彼は自分に声援と拍手を送りながら立っているファンたちの姿を見た。メドベデフがブーイングを浴び、あるファンが彼に中指を突き出して侮辱している場面さえ見られた3回戦とは大違いだった。3回戦でのメドベデフは、まずボールパーソンからタオルをひったくった仕草、それからラケットを主審のほうに向け放ったこと、そして中指を素早くこめかみに当てるといったいくつかの行為で観客たちを怒らせていた。

 その3回戦後のコート上のインタビューの際に、メドベデフが腕を伸ばしてもっとブーイングするよう促して彼らを挑発したとき、彼は――少なくとも今大会の残り期間は――ファンたちが憎みたがる『悪役選手のリスト』上に定位置を確保したかに見えていたのだ。

 メドべデフはすでに優秀な選手だ。彼はこの夏の一連のハードコート大会で4大会連続で決勝に進出し、世界ランキングでトップ5に浮上。フラッシングメドウでのパフォーマンスは、これまでのところグランドスラム大会で最高の成績だった。

「今夜は皆が、まだ23歳なのにも関わらず彼(メドベデフ)がなぜ世界4位の選手なのかを目にした」とナダルはコメントした。

 そんな訳で、自分に対して批判的になる傾向が強いというメドベデフも、自分のよい仕事に拍手喝采を送った新しいファンたちに同意しなければならなかった。

「自分を誉めてやらなければいけないね」とメドベデフは言った。

「これらの経験を通し、大きく成長できていたらいいと願う。でも僕は続けなければならず、もっともっと強くなる必要がある」

(APライター◎ブライアン・マホニー/構成◎テニスマガジン)

最終更新:9/11(水) 12:03
テニスマガジンONLINE

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事