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寺に1000万円払えと言われ…?「墓じまい」の大変さをご存知ですか

9/11(水) 10:01配信

現代ビジネス

離檀料の新ルール

 申請書を提出すると、改葬許可証が発行され、お骨を取り出すことができるようになる。その後、改葬許可証を霊園管理者に渡し、お骨を埋葬する。

 お墓は更地にして返す必要があるということも知っておきたい。石材店に依頼して墓石を撤去してもらうのだが、費用はお墓の広さによって異なる。

 1平方メートルもない小さいお墓なら7万~10万円程度の費用だ。また、お骨を取り出す際の供養で3万~5万円のお布施が必要になることもある。

 これが基本的な墓じまいの流れだ。

 とはいえ、墓じまいの手続きには思わぬ落とし穴もある。

 「4~5年前、北海道小樽市の墓を整理しました。そのときお坊さんから『家族に不幸がありますよ』と嫌味を言われたことは忘れられません」

 こう語るのは経済評論家の山崎元氏だ。

 お寺にあるお墓を墓じまいする場合、最も大変なのはお寺との関係だ。お寺からすれば大事な檀家がいなくなるうえ、墓地の管理料や寄付などの収入も減る。

 それゆえに引き留めにかかろうとするのだが、トラブルになるケースが最近増えている。山崎氏は続ける。

 「墓じまいを切り出すと『墓を何月何日までに片付けろ、早く現状回復の手続きをしろ』と無理な期限を設定され、やたらと急かされました。こんなに意地が悪いなら縁を切って正解でした」

 山崎氏は言葉だけで済んだが、最悪の場合は離檀料を請求される。

 「60代の方が墓じまいをしたいと菩提寺に伝えたところ、『墓を建てるのに2000万円かかったのだから、出ていくときは半分の1000万円を払え』と言われたケースもあります。その方は結局500万円を払いました」(前出・大塚氏)

 離檀料は、契約によるものでも、法律で決められたものでもない。そのため支払う必要はないのだが、墓じまいを希望する人が増え、お寺も経営が苦しくなっているところが多い。

 「祟りがある」などと嫌なことを言われず、すっきり関係を断つのが新しいルールだ。日本葬祭アカデミーの二村祐輔氏が解説する。

 「毎年菩提寺に3000~1万円程度払っている護持会費の10年分を目安に、先にお気持ち(お布施)として渡しましょう。檀家を抜けるのだから、まず先に感謝を伝えれば、感情的なトラブルになりにくい。

 墓じまいしたいと伝えるときも『高齢で子どもも地元を離れていて……』など、もっともだと思われる理由を話せば、お寺側も納得するしかないのです」

 墓じまいをすれば、先祖代々の墓の重荷から解放される。とはいえ、お墓に入っていたお骨の行方についても考えておく必要がある。お骨の移動先のパターンによって、それぞれいくらおカネがかかるかを試算したものがページ末の表だ。

 墓じまいをした場合のお骨の行き先で多いのは、古いお墓から霊園にお骨を移すケースだ。ただ、アクセスがよい公営霊園には人気が集中しており、抽選に当たらない限りお墓を持つことはできない。

 もし行き先が決まらない場合、お骨を自宅に置いておくことも可能だ。ただし、自宅の庭にお骨を埋めると、墓地埋葬法違反となり罰金を科せられる。

 また、自分が元気なうちはお骨を家に安置してもいいが、いざ自分が倒れれば子どもに迷惑が掛かるのは避けられない。

 墓じまいをしたお骨を散骨するという手もある。この時、改葬許可証を取るうえで注意が必要だ。

 「散骨のためにお骨を取り出すなら、新しいお墓がないので改葬許可証は不要です。

 しかし実際は、散骨業者や墓地管理者から改葬許可証を求められたり、お寺や役所の担当者がそれを知らずにたらいまわしにされるケースもある。話が進まない場合は、行政書士等の助けを借りましょう」(社会福祉士・吉川美津子氏)

 散骨は有力な選択肢ではあるものの、完全にお墓を無くしてしまうことには抵抗がある人もいるだろう。そんな人にオススメなのが永代供養墓だ。

 永代供養墓は、お墓参りに行かずとも、お寺や霊園が管理や供養をしてくれるお墓のことだ。これまでの代々のお墓であれば誰かが財産として承継する必要があった。しかし永代供養墓なら、寺院や霊園に、お骨を任せることができるのだ。

 永代供養の値段はピンキリだが、最もリーズナブルなのは合葬墓だ。

 「合葬墓は、他の人のお骨と一緒に埋葬する大きなお墓です。費用は一体約3万円からあります」(前出・大塚氏)

 一方、個人のお墓に、オプションとして永代供養を付ける方法もある。こうしたお墓では、十三回忌や三十三回忌まではお墓があり、その後合葬される。都心部に急増している納骨堂でも、お墓は期限付きで、永代供養が付いているものが多い。

 では永代供養墓の手続きで失敗しないためにはどうすればいいのか。

 ポイントは値段を比較することだ。

 「『墓じまいするならウチで永代供養しますよ』とお寺から勧められることもあります。しかし、岡山県のお寺のケースでは、お骨が7体で1400万円もかかると言われました」(前出・清野氏)

 お寺だけでなく、民間の霊園、さらにはNPOまで、永代供養の選択肢は広がりつつある。年間管理料がいくらかかるのか、何年で合葬されるのかなど条件を比較しつつベストな選択をしよう。

 お墓のあり方が変われば、それにまつわる手続きやルールも変わる。常に最新の知識が必要なのだ。

 「週刊現代」2019年7月27日号より

週刊現代

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最終更新:9/11(水) 17:25
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