ここから本文です

世界はなぜ「豊かな国」と「貧しい国」に分かれたのか?

9/11(水) 14:01配信

現代ビジネス

----------
先日逝去したイマニュエル・ウォーラーステイン。ヘゲモニー、中核、周辺などのキーワードを駆使して、近代世界はひとつのシステムであるとする世界システム論。世界システム論を日本に紹介した川北稔大阪大学名誉教授が解き明かす、ウォーラーステインの魅力とは? 『知の教科書 ウォーラーステイン』(講談社選書メチエ)の「はじめに」を公開する。
----------

都道府県の人口差は30倍…目を背けたくなる「未来の地図帳」

ダイエットと飢餓の「南北問題」

 日本の若者の多くが、体型を気にしてダイエットに関心をもっている。若者でなくても、健康上の理由から、体重制限に苦慮している人も少なくない。しかし、他方では、地球上の多くの地域、とくにアフリカでは、いまも毎日、多くの子どもたちが餓死している。このことは、「南北問題」としてよく知られたことである。

 しかし、この問題は、どのようにすれば、解決できるのか。アフリカの国々は経済開発が「遅れて」いるために飢餓が蔓延しているのであり、すべての国が日本のように飽食になればよいのだろうか。

 というより、世界のすべての人びとが日本人のように飽食になることは可能なのか。そんなことが可能になるためには、世界の食糧生産は、右肩上がりに無限の「成長」をとげなければならないであろう。しかし、地球上の資源の有限性や環境問題を考えると、このような無限の成長はありえない。

 とすれば、そもそもアフリカの飢餓も、アフリカ諸国の「遅れ」が原因とは言いきれない。問題は、食糧や所得の配分の世界的なアンバランスにある。つまり、日本人が「飽食」であることが、アフリカの飢餓の少なくとも一部の原因なのである。現代の世界は一体化しているうえに、地球の資源は有限であり、人類はすでにそれを極限まで利用しつくしている。

 それにしても、こういう「南北問題」、つまり世界的なアンバランスは、どうして発生したのか。どうすれば、解消されうるのか。長年、社会学の立場から、アフリカの開発問題に取り組んできたウォーラーステインが、歴史に関心をもち、「近代世界システム」論というものの見方に到達したのは、このような問題からである。

1/3ページ

最終更新:9/11(水) 14:01
現代ビジネス

記事提供社からのご案内(外部サイト)

「現代ビジネスプレミアム」

講談社『現代ビジネス』

月額1000円(税抜)

現代ビジネスプレミアムは「現代ビジネス」の有料会員サービスです。2万本以上の有料記事が読み放題!会員だけの特別記事も配信。豪華ゲストによるセミナーも開催中。

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事