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【ラグビーW杯】ジョセフHCを電話一本で日本代表入りさせた男 “赤鬼”が8強入りを確信する理由

9/11(水) 19:03配信

THE ANSWER

ホームアドバンテージは実力プラス20%「8強はいけると思う」

 進化を認める日本代表がめざす8強入りにも、期待は大きい。

「僕は、いけると思います。ジェイミーとはよく話をするけど、選手は勝つことにハングリーだし自信も持っている。彼自身そう考えてます。去年、一昨年は難しかった。でも、最近、チームはすごく安定している。悪い試合がないですよね」

 アイルランド、スコットランドという強豪から最低でも1勝を挙げなければ8強入りは難しい。勝てるという最大の理由には明快に“ホーム”の有利さを挙げる。

「勝負はプール戦最後のスコットランドだと思う。ホームでの試合は、実力にプラス20%できる。たぶんスコットランドはマイナス10%でしょう。この差は絶対にある。気を付けないといけないのは、サモアでしょうね。調子は良くないけど、いいメンバーを集めることができると強いチーム。最初にスコアをされると厄介な相手になりますからね」

 グラウンド外のアドバンテージがホームの熱い応援なら、ピッチ内の武器は、やはりマコーミック主将時代から変わらないスピードだと指摘する。

「日本の強みは、やはりスピードです。でも、南アフリカ戦ではブレークダウンに入る早さが、まだちょっと遅いところもあった。オンザボール(ボールの争奪状態)では、どの相手も強い。だから、そこのエリアで、日本がボールをクリーンアウトして、早く動かせると相手にとってはヤバイでしょ。もちろんセットピースもベースの部分で重要。でも、スピードがないと、日本はたぶん厳しくなる」

 東芝、NTTドコモなどでコーチを務め、いまはNZのスポーツ・エージェント、ヘイロー・スポーツの日本でのGMとして、選手のマネジメントや日本とNZのチームとの提携などにも力を注いでいる。6月に日本協会副会長に就任した清宮克幸氏がプロリーグ構想を打ち出すなど変革期を迎えようとしているラグビー界で、「もっと日本とNZ、オーストラリアの様々な交流に力を貸していきたい」と南北半球の橋渡し役に力を注ぐ。選手とチーム、チーム間、そして協会同士の契約、交流には、従来以上の新たな可能性が広がっているのだ。

 その一方で、将来のビジョンを聞くと、迷わずに「コーチングはやりたいですね。それは、いつも頭の中にあります」と答えた。母国NZ代表として期待されながら、日本でのプレーを選び、主将としてワールドカップの舞台にも立った経験値を、グラウンドの上で生かしたい。日本人ながら、その卓越したビジョンや先進性を認めた平尾誠二監督のもとで、主将として勝利をプレゼントできなかった無念の思いを晴らしたい。

「コーチングは毎年のように進化している。僕もグラウンドから離れているので難しい部分がある。でも、(東芝府中時代に指導を受けた)向井(昭吾)さんが、コカ・コーラの監督に戻ったから大丈夫かな」

 本人は「それはないんじゃない?」と笑ったが、史上初の外国人主将が、いつか古巣の指揮を執ることを願うのは不思議なことではない。

 壮大な夢の前に、心待ちにするのは後輩たちの初の8強入り。日本を愛してやまない“赤鬼”は、その躍進を信じてキックオフを待つ。

アンドリュー・マコーミック(あんどりゅー・まこーみっく)
1967年2月5日、ニュージーランド・クライストチャーチ生まれ。クライストチャーチ・ボーイズ高出身。カンタベリー州代表で活躍して、93年から東芝府中(現東芝)でプレー。96年に日本代表入りして、98年から主将に就任。通算25キャップ。2000年に現役を引退して、東芝府中HCに就任。02年に退任し同年、釜石シーウェイブズで現役復帰。04年で再び引退。09年からNTTドコモHC、12年に関学大HC、16年に摂南大コーチを歴任。現職はスポーツマネジメント企業ヘイロー・スポーツの日本GM。

吉田 宏
サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。ワールドカップは1999、2003、07、11、15年と5大会連続で取材。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーワールドカップでの南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かして、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。

吉田宏/Hiroshi Yoshida

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最終更新:9/11(水) 19:03
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