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松坂桃李、10年後の未来を想像「さすがに結婚はしているでしょう」

9/11(水) 17:00配信

ザテレビジョン

「時をかける少女」「サマーウォーズ」で助監督を務め、「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール- 」を大ヒットに導いた伊藤智彦監督が手掛けたオリジナルアニメーション映画「HELLO WORLD」と、そのオリジナルスピンオフアニメ「ANOTHER WORLD」。そんな同作で、10年後の未来から来た青年・ナオミ役の声優を務めた松坂桃李は、アニメーションファンとしても知られる。実写映画はもちろん、アニメーション映画でも存在感を発揮する松坂に話を聞いた。

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■ 声優として必要とされるのは救われた気持ち

――脚本を読んだときの感想は、いかがでしたか。

最初は内容を把握するのに時間がかかりました。正直、文字だけですと、その作品にしか出てこない言葉などが初めは理解できなくて。でもやっていくうちに徐々に作品の内容が明確になっていき、これはすごく面白い作品になるだろうなと思いました。それにプレスコ(せりふや音楽・歌を先行して収録する手法)に挑戦するのも初めてだったんです。

映画「パディントン」の時は完全に出来上がっている状態だったのでやりやすかったんですが、プレスコの段階ですと想像力をフル回転させて声を入れなければなりません。声優さんというのは日々こんなに難しい作業をなさっているんだなと思いました。

――声優としてオファーを受けた時は、どんな気持ちでしたか。

最初は戸惑いがありました。なぜなら自分の声を初めて聞いたとき、“うわっ”という驚きがあって、今でも自分の声は好きではないんです。でも、最初の、“うわっ”があった分、声で必要だと言われることは何だか救われるような感じでした。

――とても自然な台詞まわしに聞こえましたが。

その世界観に合ったものを目指してやっていますが、なかなかそれが本当に出来ているのか定かではないんです。役者でも声の仕事でも、その物語の登場人物として存在できるかどうか日々不安との戦いみたいなところはあります。

――今回は、どういう思いや感情でキャラクターを演じましたか。

僕の役は主人公・堅書直実(北村匠海)の10年後であるカタガキナオミです。一行さん(浜辺美波)に対して強い思いを抱えながら10年間を過ごして、ある程度の経験や苦い思い出などがあるわけです。そんな成長した大人のナオミを演じるわけですから、冷静な感情の部分などは自分で想像したり、伊藤監督と話し合ったりしながら声を入れていきました。

――監督からどのようなことを求められましたか。

プレスコだったので、想像力を駆使したり、監督との共通認識を持ちながらやっていく感じでした。僕も監督も“エヴァ”が好きなので、監督が「エヴァのあのシーンのあのイメージの声で」とおっしゃって、「ああなるほど、あれですね、めちゃめちゃ難しいですね」なんていうやり取りをしながら演出をしていただきました。

――10年後のカタガキナオミって、どんな人物でしょうか。

カタガキナオミはピュアな人間です。そのピュアな思いの強さが10年後でも変わっていない、むしろ強くなっていると感じました。それに加えて周りが見えなくなってしまうような危うさを持ち合わせているのかなとも思いました。

――カタガキナオミから見た堅書直実とは。

僕から見ると10年前の直実はかわいい存在で何とかしてあげたくなる感じなんです。本来10年後のカタガキナオミが持って来た最強のマニュアルというものがあって、そのマニュアル通りにやっていればうまくいくんですが、直実は自分の思いを貫き通したい気持ちが強くてマニュアルとは違う行動をとろうとする。でもそんな直実をナオミは応援したくなるような気持ちになる。それは自分自身だから見守れるのかもしれないです。

■ 10年前と10年後の松坂桃李

――実際に松坂さんが10年前の自分に会うことが出来たら何を伝えますか。

「お前はめちゃめちゃラッキーだぞ」って伝えるんじゃないかな。以前、僕は肺炎で入院したことがあるので、「肺炎には気をつけろ。若いからって自分の体をないがしろにするな」と忠告しますね(笑)。

――逆に10年後の自分がやって来たらどんなことを聞きたいですか。

そうですね、この世界で今後どういうふうに立ち振るまったらいいか(笑)。そして今、そちらはどういう状況で、どういう立ち位置ですかということを聞いた上で、それだったら変えられるかもしれないということを考え、何をすべきかプランニングするかな。40歳ですから、さすがに結婚はしているでしょうし。

――松坂さんご自身がもし過去に戻れるとしたら、どの時代の自分と会って何をしたいですか。

もっとバスケの練習を頑張ればよかったなと思う時があるので、中学時代に戻って一緒にバスケの猛特訓をしようと思います。シュート2万本、合宿で鍛えてうまくなってスリーポイントシューターとして活躍してもらいたいですね。

■ 小さい頃に妄想していたワクワク感を原動力に!

――常に難役に挑戦する印象がありますが、その時々の準備や心構えはありますか。

作品によって様々ですが、例えばドラマ「パーフェクトワールド」の場合は、実際に車椅子で生活してみて、何が大変なのかを体験しました。そして、演じる上で何が重要なのか、何を伝えたい作品なのかということを自分の中でかみ砕き準備して現場に行っていました。

――今回の作品ではどういった準備をしましたか。

本作には恋愛やSFなど、いろいろな要素が盛り込まれているので、小さい頃、僕が妄想していたワクワク感みたいなものを原動力にしました。例えば10年後のカタガキナオミが10年前の時代に飛ぶことに成功した時の「よしっ、かなった」という喜びなどは、自分が小さい頃、アニメやドラマを見て思い描いていたものを掘り起こして役に臨みました。

――作品のテーマのひとつであるピュアであり続けることについては、どう考えますか。

難しいですよね。やはり年齢を重ねて経験をすることによって、自分の中に疑いの感情などが出てきたりするし、ある程度知識がついたことで当時はなかなかたどり着けなかったところにも簡単にたどり着くことができてしまう。そこに行くまでの過程の楽しみがなくなってしまうのは寂しいことでもあるんですよね。

学生の頃に友達と過ごした青春時代の、小さいことでも楽しかった今でも覚えてるあの思い出を、どこかで持ち続けることが、童心に瞬間的に戻れる機会を与えてくれる要素の一つだと思うので、それを僕は持ち続けたいと思います。

――特におススメのシーンはどこですか。

僕はSFも好きで、この作品もある種、SFなので、時間軸を飛び越えたり敵の狐面たちと戦うシーンなどは、非常に僕の中では心が躍りました。

――アニメが好きな松坂さんだからこその喜び、またはプレッシャーはありましたか。

プレッシャーはありました。多くのアニメ好きの方たちも本作を観ると思いますが、どうか優しい目で観ていただけたらと思います。

また自分は声を入れる一人遊びを小さい頃からよくやっていたんです。テレビで海外の映画を観ながら、すごいムキムキの奴が出てきたらちょっと声を太くして入れてみたりとか(笑)、それが楽しくて。ですから子供の頃にやっていたことがこうして仕事として本格的に出来るのはうれしいです。

――では、今、海外の俳優の吹き替えをやるとしたら、誰をやってみたいですか。

えー、誰だろう、思いつかないですねえ。あっ、でも「ハングオーバー」のふざけた感じのブラッドリー・クーパーはやってみたいです。

■ 俳優という職業に対する思い

――メインキャストの3人の中では一番年上ですね。やはり先輩として後輩の2人を引っ張っていくような感じでしたか。

とんでもないです。今をときめく2人ですから、とても素晴らしくて、相乗効果とでも言いましょうか、すごく刺激を受けました。今回、浜辺さんとは一度、匠海くんとは2度ほど一緒に声入れしましたが、2人とも本当に声が素敵なんです。作品の絵に合っていて違和感なくスーッと入って来ます。吹き替えは一人でやるよりも共演者がいた方が妄想も膨らみやすく感情も湧いたりするので、2人がいる時は心強くて本当に助かりました。

――名優の方々との共演が続いていますが、どのような気持ちで臨まれていますか。

役所広司さんや樹木希林さんとの共演は、もちろん緊張しますが、僕らの世代が作品を通してがっつりご一緒できるという機会はなかなかないので、この時間は貴重だぞ、という思いの方が強いです。緊張よりもこの時間を大事にしようという気持ちでいます。

――では、同世代で刺激を受ける俳優は誰ですか。

同世代だと、岡田将生や柳楽優弥は素晴らしいと思います。少し上ですと安藤サクラさんは素敵ですね。それと柄本佑さんはものすごい色気を持っていてカッコイイんですよ。それぞれが濃くて唯一無二の俳優なんだろうなと思います。

――役者を始めたばかりの頃と比べて俳優という仕事に対する思いはどのように変化しましたか。

正直、始めた当初はこの仕事を続けていくとは思っていなかったので、「侍戦隊シンケンジャー」をやっていた頃は番組が終わったら大学に戻ろうと思っていました。その後、初めて出演した映画「僕たちは世界を変えることができない」で、深作健太監督が「カメラマンが我々に勝手についてくるので皆さんは目の前に現れたことに普通にリアクションしていただいて、それを撮影していきます」と説明してくれたんです。

ああ、こういう撮り方もあるんだと知って、映像の世界っていろいろあって面白いなと思うようになりました。それからいろいろな作品で監督や共演者と出会い刺激を受けて、この仕事をやっていきたいという思いにつながっていった感じです。

――松坂桃李という俳優は、どんな役をやっても松坂さんにしか出来ない、前例がないような形に役を仕上げて演じているように感じられますが、いかがですか。

どうなんでしょう。先輩方のやってきたことって参考にしようにも簡単に真似できるようなことではありません。もちろん刺激になりますが、そういうことが出来るような技量を持っているわけでもないですし。ですから自分の経験してきたことや出来る限りのことをやる、ということを大前提として、難しいことは無理してまではやらない方がいいという思いでいます。

■ 実は、ホラーが苦手

――これから先、出演する作品の方向性は決めたりしていますか。

方向性は正直、固める必要はないかなと思っています。自分の中では、40代のために、ここから先の10年間をやっていきたいと思っているので、こういう素敵なアニメーション作品も含めてバランスよく喜劇やサスペンスなどをやっていきたいですね。でもホラー作品は苦手なので出ることはありませんね。怖いのは苦手なんです(笑)。

――ファンに向けて一言お願いします。

この作品の楽しみ方は年齢層によって分かれると思います。童心に帰るワクワク感や純粋な気持ちを取り戻すきっかけにもなれると思いますし、壮大なラブストーリーとしても楽しめますし、映像だけでも楽しめます。さらに音楽好きな方たちにも満足してもらえると思います。

なぜなら一人のアーティストが様々な音楽を作っていくのではなく、いろいろなアーティストが集まり、シーンごとに音楽という色をつけていくという新しい試みのアニメーション映画だからです。そして何より伊藤監督のオリジナルの世界観、つまり妄想を具現化したような、びっくり玉手箱の部分もあります。そんな幕の内弁当のような作品なので、いろいろな楽しみ方で味わっていただきたいです。

まつざか・とおり●1988年生まれ、神奈川県出身。2009年、特撮ドラマ「侍戦隊シンケンジャー」で俳優デビュー。主な出演作は「日本のいちばん長い日」(2015)、「キセキ -あの日のソビト-」(2017)、「娼年」(2017)、「不能犯」(2018)、「孤狼の血」(2018)、「新聞記者」(2019)などがある。公開待機作に「蜜蜂と遠雷」(2019年10月4日(金)公開予定)。(ザテレビジョン)

最終更新:9/11(水) 17:00
ザテレビジョン

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