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老齢年金は「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」ではどっちが得か? メリット&デメリットをFPが解説![60歳ザイ編集部員・定年退職までのロードマップ(8)]

9/11(水) 21:20配信

ダイヤモンド・ザイ

 60歳からもらうことができる「老齢年金」の“繰り上げ受給”と“繰り下げ受給”では、結局どちらが得をするのか?  気になるこの問題にファイナンシャルプランナーがズバリ答えた! 

【詳細画像または表】

 今回は発売中のダイヤモンド・ザイ10月号から、連載「本誌59歳部員の同時進行ドキュメント 定年退職までのロードマップ」の第8回を紹介! 

 この連載では、2020年3月に定年退職となるダイヤモンド・ザイ編集部の「ハラダ部員(2020年3月末に定年を迎える60歳)」が、老後のお金の不安を解消すべく奔走する様子を同時進行で赤裸々に公開している。第8回は「年金の繰り上げと繰り下げはどっちがお得なの? 」。受給の繰り上げ・繰り下げで生じるメリット&デメリットを、 ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんが解説する!  迷っている人はぜひ参考にしてほしい! 
【※関連記事はこちら! 】
⇒「住宅ローン」は、定年退職時に一括返済すべきか?  老後破綻を防ぐ「住宅ローンの返済術」をFPが伝授!  [59歳ザイ編集部員・定年退職までのロードマップ(7)]

繰り上げ申請をすれば60歳からでも年金が受け取れるが、
早くもらうと「年金額」はその分減る!? 
 この8月25日、オレはついに60歳になったのだが、実は老齢年金の「繰り上げ受給」を考えている。あ、繰り上げ受給って、年金を早く受け取ることだからね、知らない人は覚えておくよーに(偉そうだな)。

 老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取れるのは65歳からだが、それより前に受け取りたい場合は、繰り上げの請求をすれば、60歳からでも年金が受け取れる。

 一方、受給開始を70歳まで遅くすることも可能。こちらは「繰り下げ受給」という。

 「繰り上げ受給」で年金がもらえれば、定年退職後の60歳から65歳まで、今のけちくせー会社で(嘘ですよ、社長)嘱託社員で働かなくてもいいじゃん! 「毎日が日曜日」の生活が5年前倒しで始められる! 

 「そんなうまい話があるわけないでしょ!  年金の繰り上げはデメリットばっかりですよ! 」

 あ、ファイナンシャルプランナーにして社会保険労務士の井戸美枝さんに怒られちゃった。

 「繰上げのメリットは、早くもらえることにつきます。一方、デメリットは大きく2つあります。1つ目が年金の減額です」(井戸さん)

 繰り上げすると早くもらう分だけ年金が減額される。たとえば、64歳11カ月の時点で繰り上げると(そんな人はいないだろうけど)、65歳時点に対して0.5%減となる。繰り上げを1カ月早めるごとに年金は0.5%ずつダウンする(下の図を参照)。60歳ちょうどの時点で繰り上げる場合、減額率は30%にもなる。

繰り上げした時点で65歳とみなされ、
「障害年金」の受給資格を失うデメリットも! 
 「さらに、もし60歳から65歳までの間に障害を負っても、『障害年金』はもらえません」(井戸さん)

 「障害年金」の支給要件は、初診日(障害の原因となった病気やケガについて初めて医師の診察を受けた日)が65歳未満であること。ところが、老齢年金を繰り上げると、その時点で65歳とみなされ、「障害年金」の受給資格を失うのだ。

 年金自体が減額され、「身体的な障害だけでなく、うつ病など精神疾患や、寝たきりになった場合でも受給の対象になる」(井戸さん)くらい幅広い状況をカバーできる「障害年金」の受給資格も失う。オレも繰り上げする意欲を失ったぜ。

「繰り下げ」の場合、年金額が多くなる! 
受給開始を1カ月遅くするたびに増額率は0.7%アップ! 
 一方、「繰り下げ」の場合、年金額が多くなる。受給開始を1カ月遅くするたびに増額率は0.7%アップ。70歳まで繰下げると年金は42%も増額される(上の表参照)。そこまでガマンしなくても2年遅くするだけで16.8%も増額される。当然、増えた金額は一生続く。イマドキ、こんな金融商品ありませんぜ、ダンナ!   

 「または、請求を遅らせた期間の分の年金を一括で受け取るという選択も可能です」(井戸さん)

 年金は自分で受け取りの手続きをする必要があるが、繰り上げの場合と異なり、繰り下げたい場合は年金の受け取り手続きをしなければいいだけ。受け取りたくなった時に請求し、繰り下げの申し出をすれば、それ以降、増額された年金が支給される。

 その際、繰り下げ請求ではなく、通常の受給開始手続きをすれば、受給していなかった期間の年金の一括受け取りが行える。請求を遅らせた期間によってはちょっとした一時金になる。もちろん、それ以降に支給される年金の上乗せはなし。それはまあ、あたりまえ体操。

 ただ、年下の配偶者などがいる場合、老齢厚生年金を繰り下げると、支払われるはずの加給年金が受取れなくなる。加給年金は一律39万8000円。けっこう多いな。なにより、早く死んだ場合には、65歳での受け取りや繰り上げの場合より損することもありうる。繰り下げも、自身の健康状態や家族構成と相談してよく検討してほしい。

今回の結論:長生きするリスクを考えると繰り下げかな? 
 少しでも長く働いて年金の受給開始を遅らせることができれば、働けなくなってからの老後が楽になる。早く死ねば損になるけど、その時はお金が必要のない世界に行くのだから、損はしても困るわけじゃない。ま、六文銭さえあればいいんじゃね? 

 【連載「本誌59歳部員の同時進行ドキュメント 定年退職までのロードマップ」バックナンバー】
⇒■第1回 「老後資金は1億円」は本当か?  誰でも自分の定年後に必要な老後資金がわかる計算式を、専門家が解説! 

 ⇒■第2回 定年後は「転職」と「再雇用」、どちらの道を選ぶ?  中高年の転職事情&定年前に準備できることを解説! 

 ⇒■第3回 定年後の再雇用・再就職時に“給料が激減”する問題は「高年齢雇用継続基本給付金」や「再就職手当」で解決! 

 ⇒■第4回 老後破綻を防ぐには、定年退職前に「支出の把握」と「家計のダイエット」をして“生活費の見える化”を! 

 ⇒■第5回 定年退職後の“健康保険”はどうなる?  定年後の働き方次第で、加入できる健康保険がどう変わるかを解説! 

 ⇒■第6回 定年退職後も「医療保険」は必要か?  生涯に支払う「負担額」と受け取れる「給付金」のバランスに要注意! 

 ⇒■第7回 「住宅ローン」は、定年退職時に一括返済すべきか?  老後破綻を防ぐ「住宅ローンの返済術」をFPが伝授! 

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ザイ編集部

最終更新:9/11(水) 21:20
ダイヤモンド・ザイ

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