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「営業利益率54%」キーエンスに株主反発のわけ

9/11(水) 5:30配信

東洋経済オンライン

 「合理的な会社なのに、合理的な説明が聞こえてこない」

 今年7月、外資系機関投資家のアナリストが長年の不満を訴えた。矛先は高収益・高年収企業として知られるキーエンスだ。

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 6月に行われたキーエンスの株主総会の結果は、今年も会社側にとって厳しい数字となった。第1号議案「剰余金の処分」の賛成票は68.85%、第2号議案の「取締役9名の選任」も、創業者で取締役名誉会長の滝崎武光氏への賛成が71.06%にとどまった。現社長の山本晃則氏への賛成も84.32%で、賛成票が9割強であることが一般的な日本企業と比べても、株主の支持が低い結果となった。

 複数の機関投資家によれば、議決権行使助言会社大手のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)がこれらの議案に反対推奨したことが影響したようだ。

■高収益なのに、あまりに低い配当性向

 キーエンスはFA(ファクトリーオートメーション)に関わるセンサーや画像処理システムを手がける企業だ。FAとは工場の生産工程を自動化するために導入するシステムのことだ。2019年4~6月期の純利益こそ9年ぶりの減益となったが、工場の自動化需要が旺盛なこともあり、同社の業績は堅調に推移している。

 経済産業省の企業活動基本調査によると、製造業の売上高営業利益率は5.5%(2017年度実績)。それに対し、キーエンスの2019年3月期(2018年度)の決算は売上高5870億円、営業利益3178億円で、営業利益率54%と製造業と思えない数字を誇る。

 平均年収は2100万円で、それを支えているのはまさにこの高い収益力にある。高収益の秘密は工場を持たないファブレス経営や製品の研究開発力、データに基づく合理性を極めた直営営業や社風にある。多くの機関投資家は「ビジネスモデルや事業の執行力はパーフェクト」だと口をそろえる。

 にもかかわらず、株主総会の議決において多くの反対が出るのは、配当をはじめとした株主還元策を不十分だとみる投資家が多いためだ。2019年3月期の配当は年間200円。1株利益は1864円で、3割配当がスタンダードになりつつある配当性向は約10%にすぎない。

 キーエンスのバランスシートを確認すると、連結自己資本比率は94.4%、利益剰余金は2019年6月20日時点で1兆5585億円に積み上がっている。現預金だけで4348億円を保有しており、複数の機関投資家は「資本の使い道も不明で、こんなに貯める意味が理解できない」と不満を漏らす。

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最終更新:9/11(水) 5:30
東洋経済オンライン

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