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「ソフトテニス1本で生活する」。国内初のプロ、船水颯人の野望

9/12(木) 7:03配信

FRIDAY

午前10時の小手指駅。早稲田大生にまじり、所沢キャンパス行きのスクールバスに乗り込む青年がいた。肩にはヨネックスのラケットケースを抱えている。小麦色に焼けた22歳は今春に早稲田大を卒業し、4月にプロ選手になったばかり。その世界では、知らない人はいない。日本ソフトテニス界初のプロプレーヤー、船水颯人だ。

さわやかな船水颯人

「高校時代(宮城・東北高)にインターハイで優勝し、大学3年までに国内のタイトルを全部取り、自分で言うのも変ですが、予想以上にいい結果を残してしまいました。このまま実業団に進むと、僕自身が頑張れなくなると思ったんです。いま以上の刺激が欲しいと思ったとき、環境を変えるしかないって。それで、新たな挑戦をすることにしました。リスクを考えて、安全な道を選ぶのは自分ではない。先のことは考えず、やるだけやってみようと」

あまり知られていないが、ソフトテニスは日本発祥の競技。愛好者も多く、中学生でプレーする人は人気のある野球やサッカーをしのぐ。日本中学校体育連盟によると、男女あわせて31万7000人、競技人口も約54万人もいる。しかし指導者不足などもあり、高校、大学になるにつれてラケットを置く人は多い。学生のトップ選手たちは大学卒業後、企業の実業団チームでプレーするのが通例で、硬式テニスのような大規模な賞金トーナメントはなく、国内のプロリーグもない。業界として興行の発想もなく、個人としてプロになる考えを抱く人もいなかった。

世界選手権の国別対抗、アジア選手権などの国際舞台でも頂点に立った男は、その昔、錦織圭や大坂なおみのようになる道も選択肢としてはあった。

「小中学校の頃、伊達公子さんのコーチも務めた小浦(武志)さんという方がソフトテニスの講習会のために青森まで来て、指導を受けたことがありました。その時、『硬式はどうだ?』と誘っていただいたんですが、当時背が140㎝ほどしかなくて、今も170cmしかない。『硬式は背が高くないと無理なんじゃないか』と思っていたので断念しました。でも僕はこの競技だから、ここまでくることができたんです」

当時から世界で活躍していたジョコビッチが188cm、フェデラーも185cmある。角度のあるサーブやパワフルなプレーに対抗する自信はなかった。むしろ体が大きくなくても相手の打球のパワーを利用して打ち返す技術にすぐれた船水は、ソフトテニスを極めたい、と考えが固まった。

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最終更新:9/12(木) 11:59
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