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政治と市場に支配されるFRBの金融政策

9/12(木) 8:37配信

NRI研究員の時事解説

足もとの米長期金利上昇に注意

8月分雇用統計でも、製造業の弱さが確認された。同部門の残業時間は前年同月比で9%近く減少し、2015年以来の大幅減となった。しかし全体としては、米国経済が依然として安定を維持していることを示唆したと言えるだろう。失業率は3か月連続で横ばいの3.7%となり、ほぼ50年ぶりの低水準にとどまった。 非農業部門就業者数は13万人増加と事前予想を幾分下回ったものの、6~8月の就業者数の伸びは月平均で15万6000人と、雇用が拡大していた過去8年間の平均である19万人とそれほど違わない水準が維持されている。長期金利低下にも後押しされた、個人消費の堅調さが米国経済全体を下支えしているのが現状だ。

10年国債利回りは、5月から8月にかけて1%以上も下落した。しかし9月に入ってからは0.3%近く上昇に転じている。今後も長期金利が上昇傾向で推移する場合には、米国の個人消費には再び逆風となる可能性があるだろう。

しかし、そうした効果が表れるのは早くても今年末と考えられる。当面は、米国経済は比較的安定を維持することが見込まれる。その中で、FRBはFOMCごとに0.25%ずつの利下げを続ける可能性がある。その場合には、予防的措置とのFRBの説明は次第に難しくなり、政治と市場に支配されるFRBの金融政策の現状がより露呈されよう。


木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト)
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この記事は、NRI金融ITソリューションサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(http://fis.nri.co.jp/ja-JP/knowledge/commentary/category/kiuchi.html)に掲載されたものです。

木内 登英

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最終更新:9/12(木) 8:37
NRI研究員の時事解説

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