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国内約300台の手術ロボで「遠隔手術」めざす 九大、北大、弘前大、鹿児島大が連携

9/12(木) 8:10配信

NIKKEI STYLE

《連載》デンシバ Spotlight

胃がんや大腸がんなどの手術を医師が離れた場所から行う「遠隔手術」の実現に向け、日本外科学会が指針作りに乗り出しました。国内でも導入が増えている手術支援ロボットを使い、都市と地方の医療機関を高速回線で結んで、遠隔地の患者がその場にいるような感覚で手術を進めます。指針がまとまり次第、九州大や北海道大など4大学は動物実験や臨床研究を始める予定です。

■胃がんや大腸がんなどで期待

日本外科学会は国内に約300台導入されている手術支援ロボット「ダビンチ」を使うことを前提に準備を進めています。ダビンチによる手術は、患者の腹部や胸部に穴を開けて内視鏡や鉗子(かんし)などの手術器具を挿入。外科医は手術台から少し離れた場所で、患部を映すモニターを見ながらコントローラーで操作します。

遠隔手術では大学病院などと、患者がいる地方の医療機関にダビンチをそれぞれ設置し、遅延の少ない通信回線で結びます。手術は原則として患者のそばにいる現地の医師が担当しますが、操作を遠隔地の機械に切り替えることもできるので、遠隔地からベテラン医師が手術の難しい部分を分担するといった運用も可能です。

ダビンチでは現在、胃がんや大腸がん、前立腺がん、子宮がん、食道がんなど14種類の手術に公的保険が適用されています。日本外科学会の森正樹理事長(九州大学教授)は「すべての手術が遠隔でできるわけではないが、胃がんや大腸がんなどダビンチでできる手術は患者数が比較的多いので可能性は大きい」と期待しています。

■医療サービスの地域格差を是正

同学会はこのほど遠隔手術の実施に向け、対象となる手術の種類や安全確保のための方策を盛り込んだ指針作りに乗り出しました。通信技術の関係者なども交えた検討委員会で来春までに指針をまとめる予定です。

指針がまとまれば、九州大、北海道大、弘前大、鹿児島大の4大学は連携して研究を始める計画です。北海道と九州を回線で結んで、まず動物を使った実験を行い安全性を確認。そのうえで実際の患者で遠隔手術を実施する考えです。

遠隔手術は世界でもまだほとんど実施例がありません。「中国でブタを使った実験が報告されているくらい」(森理事長)といいます。

日本で遠隔手術の機運が出てきた背景には、外科医のなり手に先細り傾向があるなかで、都市と地方の医療サービスの格差を是正する狙いがあります。遠隔手術ができれば、経験の浅い若手の外科医が地方にいてもベテラン医師の指導を受けながら手術の腕を磨くことができるというメリットもあります。

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最終更新:9/12(木) 8:10
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