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慶應卒の秀才はなぜ、一流のプロレーシングドライバーを極めるのか?(現代レーサー物語 Vol.3 佐々木大樹:後編)

9/12(木) 20:35配信

GQ JAPAN

レーシングドライバーの知られざる半生を振り返ると、そこには幾多のドラマがあった。彼らがレースをはじめたきっかけ、挫折、苦難、そして今……。誰もが驚くエピソードを紹介する。第3回は、日本のハコ車レースの最高峰SUPER GTのGT500クラスに参戦中の佐々木大樹選手だ。

【写真を見る】一流レーサーの愛車は驚くほど意外だった!

猛反対された大学進学

佐々木は慶應義塾志木高等学校在学中、フォーミュラデビューを果たす(フォーミュラチャレンジ・ジャパンに参戦)。とはいえ、この頃の佐々木は、レーシングカートを極めるのに必死だったという。

「当時、フォーミュラなどカート以外の種目には、ほとんど興味がありませんでした。とはいえ、せっかくのチャンスを活かさないのはもったいない! と、思い、参戦を決意しました」

日産自動車のバックアップのもと、2008年にフォーミュラへ参戦すると、すぐ好成績を出すようになった。2009年、フォーミュラチャレンジ・ジャパン参戦2年目には、なんとシリーズ2位を獲得する。

ちなみに当時、日産自動車以外のメーカーからも声をかけられたというが「すぐ(フォーミュラの)レースに参戦出来るのが最大の魅力でした。ほかのメーカーは、養成スクールに1年間通わなければいけなかったので……」との理由で、日産自動車を選んだという。

とはいえ、佐々木も不安だった。「(フォーミュラで)結果を残せなかったら一切のモータースポーツ活動をやめようと考えていました」と、話す。こうした不安もあってか、「大学へは必ず進学しよう」と思い、勉学に励んだという。結果、慶應義塾大学法学部政治学科に進学を果たす。

「大学進学は多くの人から反対されました。高校3年生のとき、全日本F3選手権へ出走する話が飛び込みました。ちょうど志望学部を決めなくてはいけない時期だったのですが、周囲に相談すると『モータースポーツ活動と勉学は両立出来ない』と、一蹴されました」

当時、所属チームの一部メンバーからも「モータースポーツ活動と大学生活、いずれかに絞りなさい」と、言われたという。しかし佐々木は、“やってみなきゃわからない”、というわけでキャンバスライフとモータースポーツ活動を同時に実践した。

「(全日本F3選手権で)結果を残せなかったら、モータースポーツの世界から身を引こうと思っていました」と、佐々木は話す。大学卒業後、多くの大学生とおなじく、民間企業に就職する可能性があるかもしれない……と、思ったりもしたという。

しかし佐々木は、見事、学業とモータースポーツ活動を両立させた。驚いたことに、全日本F3選手権、SUPER GTのみならず、プロレーシングカートのレースにも出走していたという。

「レーシングカート活動を続けるのには理由があります。カート用タイヤの開発に携わっているのもありますが、若いレーサーが持つ“技術”や“技”を学ぶ意味もあります」

ちなみに、GTドライバーでレーシングカートに参戦する人はほとんどいないという。「若い選手に負ける可能性があるからでは?」と、佐々木は推測する。プライドが傷つくのだ。では、なぜ佐々木は参戦するのか?

「レーシングカートを極めたいのはもちろん、常にタイムを、常に上位を目指しているからです」と、佐々木は話す。彼自身のモータースポーツ活動に、終わりはないのだ。

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最終更新:9/13(金) 12:29
GQ JAPAN

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