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韓国の怒り「パラ五輪メダルが旭日旗を連想」論争が抱える“3つの危うさ”

9/12(木) 5:30配信

文春オンライン

 韓国の障害者スポーツ団体・大韓障害者体育会は今年8月、東京パラリンピックのメダルのデザインが旭日旗を連想させるとして、国際オリンピック委員会と大会組織委員会に抗議すると発表した。

【写真】旭日旗を連想? 「扇」をモチーフにしたメダルデザイン

 これはたいへん危うい動きである。そもそも旭日旗には明確な定義がない。その上に「連想」といってしまうと、「あれもこれも旭日旗だ」と切りがなくなり、不毛な言い争いにつながるだろう。

旭日旗を明確に定義すべき

 辞書を確認してみよう。旭日旗は、「旭日=朝日を模様化・図案化した旗」などと実に簡単に定義されている。そこには、太陽から出ている光線の数も、太陽の位置も、色使いも、なにも定められていない。

 これでは、旧日本軍の連隊旗や軍艦旗だけではなく、大漁旗や朝日新聞の社旗、それに類似したデザインの旗だって旭日旗になりかねない。

 事実、日本の外務省は、今年5月に公開した 広報資料 で、北マケドニア共和国国旗、アリゾナ州旗、ベネズエラ・ララ州旗、ベラルーシ空軍旗なども「旭日のデザイン」の例としてあげている。

 旭日のデザインは世界的に使われているのに、日本のそれだけ批判・禁止するのはナンセンスではないか――。日本政府はこう言いたいのだろう。

 こうした反論に対応するためにも、旭日旗を批判するものは、そのデザインなどを明確に定義すべきである。連想云々の妥当性は、それから議論しても遅くはない(もっとも、このメダルのデザインが旭日旗に似ているかはかなり疑問だが)。

「戦犯旗」と名指しされる旭日旗はいつ復活したのか?

 もちろん、韓国で「日本の軍国主義・帝国主義・植民地支配の象徴」=「戦犯旗」として名指される旭日旗は、多くの場合、旧日本軍の連隊旗や軍艦旗だろう。多少デザインは異なるが、日の丸から16本の光線が出ているものがそれだ。

 その歴史は、1870年にさかのぼる。明治新政府はこの年、太政官布告で商船用国旗、陸軍用国旗、海軍用国旗の3つを定めた。このうち、商船用と海軍用は日の丸で、陸軍用は旭日旗だった。海軍用国旗は1889年に改訂され、旭日旗となった。これにより、「国旗は日の丸、軍旗は旭日旗」の使い分けが成立した。

 その後、長らく旭日旗は日本軍の象徴だったが、アジア太平洋戦争の敗戦によってお蔵入りになった。復活したのは、ようやく1954年のことだった。自衛隊の発足時に、海自が旧軍艦旗を自衛艦旗として採用したからである。

 なお陸自は自衛隊旗として、「日の丸から8本の光線を放つ旗」を採用した。旧海軍で使われた大将旗のデザインに近い。これも旭日旗と呼ぶか、あるいは「戦犯旗」と捉えるかは、定義と解釈の問題だろう。

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最終更新:9/12(木) 12:00
文春オンライン

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