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投手起用に疑問が残ったU-18W杯。「世界一」より優先すべきこと。

9/12(木) 7:01配信

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 9月8日まで韓国で開催されていたU-18ベースボールワールドカップで、初の世界一を目指した日本は5位で大会を終えた。

 オープニングラウンドでは大会4連覇中だったアメリカに大勝したが、台湾に敗れて4勝1敗でスーパーラウンドに進んだ。スーパーラウンドでは初戦のカナダ戦に勝利したが、2戦目の韓国戦は、タイブレークの延長10回に4-5でサヨナラ負けを喫し、自力での決勝進出がなくなった。7日のオーストラリア戦も守備と打線が振るわず1-4で敗れ、5位が決定した。

 韓国戦の延長10回、無死満塁の場面でマウンドに上がり、サヨナラの犠飛を打たれた池田陽佑(智弁和歌山)は試合後、「もう和歌山に帰れないです」とうつむいた。

 しかし今大会は投手陣を責めることはできない。投手の奮闘が、苦しむチームを救い続けた。

 今大会は9人の投手が登板したが、失点はほとんどが守備のミスが絡んでのもの。投手が打ち込まれたり、四球で自滅するといった場面はほとんどなく、日本の防御率は12チーム中トップの1.58だった。

見た目の投球数以上にブルペンが負担。

 ただ、西純矢(創志学園)や飯塚脩人(習志野)といった一部の投手への負担が大きかった。投手陣の起用法には疑問が残る。

 今大会は球数制限が設けられており、49球以下は連投が可能で、50~104球は中1日が必要。1試合の最多投球数は105球(対戦中の打者は対戦終了まで投球可能)とされており、105球に達した場合は中4日空けなければならなかった。

 西は、オープニングラウンドのアメリカ戦で3回44球、台湾戦で1/3回2球、パナマ戦で6回96球と、3連投した。

 台湾戦は雨天コールドにより5回で試合が終了したため、マウンドで投げたのは2球だったが、ブルペンでは何球も投げて準備しており負担は少なくない。しかも西は登板のない時も外野手として出場していた。

ルールの枠ギリギリまで投げさせる起用法。

 スーパーラウンド初戦のカナダ戦には奥川恭伸(星稜)が今大会初登板初先発し、7回で103球を投げ、18三振を奪う圧巻の投球を見せた。

 104球まで残り14球の状態で、1点リードの7回表のマウンドに上がり、「次のピッチャーに中途半端な状態で受け渡したくなかった」と、13球でこのイニングを終わらせた奥川は見事だ。

 ただ、甲子園の決勝から2週間ぶりの登板。甲子園の疲労が残っていたために大会前半の登板を控えていた奥川が、いきなり重圧のかかる試合で103球を投じるのはかなりの負担があったはず。しかも3日後または2日後の登板も想定された上での103球だった。

 本来、球数制限は投手の体を守るためのものだが、日本チームにはそこが抜け落ちて、単なる“ルール”として運用されていたように見えた。

 そのルールの中でなら目一杯投げさせても大丈夫というふうに、選手の状態よりも、球数ばかりを見てしまってはいなかったか。

 ある球団のスカウトは、「日本代表の戦い方は日本の指導者たちが見ている。これが(日本で球数制限が導入された場合の)基準になってしまっては……」と危惧していた。

 今大会、投手を3連投させたチームは日本と韓国だけ。オープニングラウンドでの3連投は日本だけだった。

 ちなみに準優勝したアメリカは大会を通して、連投は一度もなかった。優勝した台湾も、2連投が一度だけ。選手に無理をさせないことと、勝つことを両立している国もある。

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最終更新:9/12(木) 7:01
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