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鳥谷敬の引退勧告は「冷たい」か?ベテランの進退に求められること。

9/12(木) 11:46配信

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 これは生え抜きの功労者への冷たい仕打ちなのか。

 それともせっかく用意された花道を踏みにじる行為なのか。

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 阪神の鳥谷敬の去就が取りざたされている。

 はっきりしている事実を書くと、球団は8月29日に鳥谷と話し合いの場を設けた。鳥谷自身が説明した言葉を借りると、その席で伝えられたのは「引退してくれないか」という勧告であり「事実上の戦力外」。

 球団から投げられたボールについて、鳥谷は「どんな選択をしたとしても、タイガースのユニホームを着てやるのは今シーズンが最後」と退団を明言した。

かけ違った両者のボタン。

 その言葉を報道陣から伝え聞いた球団幹部は「まあ、要約すればそういうことになるんでしょうが……」と困惑していた。

 球団としては周囲が騒ぎ始める前に、鳥谷にチームの方針を伝えたかった。あなたが納得してくれるのなら、長年の貢献にふさわしい場を用意したいと。それを意訳してしまうと「引退してくれないか」となる。そうだといえばそうだし、違うといえば違う。

 タイガースは生え抜きの功労者だからこそ、立派な花道をつくり、ファンの拍手とともに送り出してあげたかった。しかし、鳥谷はそうは思わなかった。なぜならば「まだやれる」と思っている。

 両者のボタンは、はじめからかけられる余地などなかったわけだ。

 鳥谷は通算2082安打を放ち、タイガースの生え抜き野手としては藤田平に続く名球会入りを果たした。派手さこそないが、黙々と出場を続けるフィジカルの強さ、それを支えるストイックな姿勢は阪神ファンには周知の事実だ。

 その一方で今シーズンは、9月11日のヤクルト戦でようやく初打点を記録したものの、17安打、打率.205にとどまり、本塁打はまだない(9月11日現在)。

ネックになった年俸4億円。

 そして、今季の年俸は4億円となっている。

 成績が低迷しており、出来高契約による報酬がそう多いとは思えないが、それでも関係者筋に尋ねると「4億円ではきかないはず」という声もあった。筆者の取材の経験からいっても、選手名鑑などに記載される額が実際より多い例は聞いたことがない。そうなれば少なくとも4億円という表現が的確に思える。

 もちろん、この額は球団と鳥谷が交渉して合意したのであり、胸を張って受け取っていい報酬だ。しかし、同時に来シーズンの契約を検討するとき、この金額と成績は非常にアンバランスなのは間違いない。

 実際にどんなニュアンスで伝えたかはともかく、タイガースに「引退してくれないか」と言わせた理由は、38歳の年齢とこの金額に尽きる。若手野手も少しずつ成長しており、来シーズンに成績がV字回復することは期待できない。組織はそう判断したということだ。

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最終更新:9/12(木) 11:46
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