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ナダルが覆した「短命」の先入観。フェデラー&ジョコと競い合って。

9/12(木) 12:31配信

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 ノバク・ジョコビッチが消え、ロジャー・フェデラーが散った全米オープンは、ラファエル・ナダルの19回目となるグランドスラム優勝で幕を閉じた。これで、彼ら<ビッグ3>によるグランドスラム・タイトルの独占は丸3年、12大会連続となった。

【秘蔵写真】めっちゃ若々しい! 錦織にフェデラー&ナダル、大坂や伊達に修造、美人テニス選手たちのあどけない頃。

 この間にナダルだけが経験していることがある。25歳以下の若手との決勝での対戦だ。

 昨年、今年と2年続けて全仏オープンでドミニク・ティームを下し(今年の対戦時に25歳)、そして今回は23歳のダニール・メドベージェフの挑戦を退けた。

 いずれも、もしナダルが敗れたとしたら、2014年の全米オープンで当時25歳だったマリン・チリッチ以来の若きグランドスラム・チャンピオン誕生となっていた。そこには、フェデラーやジョコビッチ、アンディ・マレーやスタン・ワウリンカとの対戦とは違うプレッシャーがあるのではないか。

 そう聞かれたナダルは、軽く笑い飛ばした。

 「僕たちの時代はもう十分じゃないかな。15年にもなるんだよ。遅かれ早かれこの時代は終わるし、近づいてきていると感じる。僕は33歳で、ノバクも32歳。ロジャーは38歳だ。時間は止められない。

 だからそんな心配はあまりしていないよ。テニスはいつだって、次の時代のすばらしいチャンピオンが生まれてきたじゃないか」

メドベージェフも全力を出し切った。

 世代交代の主役となる資格を持って決勝に進んできたメドベージェフは、いわゆる初代ネクスト・ジェンの一角。アレクサンダー・ズベレフやステファノス・チチパスに遅れをとっていた印象だが、この夏のハードコート・シーズンで大ブレークした。

 全米オープンも含めて出場した4大会全てで決勝に進出。うちシンシナティではマスターズ初優勝を遂げ、今年の勝ち星数でもツアートップに躍り出た。

新しい悪役からナイスガイに。

 198cmの長身からのビッグサーブと、長いリーチを生かした守備力と破壊力は予測不能のショットを生み出す。ナダルの2セットアップから追いつき、最終セットも最後の最後までわからない展開にスタジアムを熱狂させた。あとでメドベージェフはこう振り返っている。

 「僕がやることすべてにラファは答えを出してくるように感じていた。だから次々と新しいことにトライしたんだ。ネットにも出たし、ドロップショットやスライスも使った。やれることは全てやった。今持てる力を全部出し切って負けたのだからしょうがない」

 今大会中は、ボールパーソンからタオルを奪い取るようなマナーの悪さを見せ、主審をなじり、ファンに対して扇情的にふるまい、すっかり<新しい悪役>というポジションを得ていたメドベージェフ。そうした出来事が嘘のように、決勝での彼はただただ才能豊かなプレーヤーで、表彰式でもとびきりのナイスガイだった。

 偉大な選手は、こうして別の偉大な選手を育てるのかもしれない。

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最終更新:9/12(木) 12:31
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