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米国でのマイナス金利政策導入のハードルは高い

9/13(金) 8:35配信

NRI研究員の時事解説

トランプ米大統領はマイナス金利政策を要求

米連邦準備制度理事会(FRB)への大幅金融緩和の要求をエスカレートさせているトランプ大統領は、9月11日のツイッターで、「FRBは政策金利をゼロかそれ以下に引き下げるべきだ」と発言した。

FRBが欧州諸国や日本と同様に、マイナス金利政策を導入するとの期待が市場で浮上すれば、ドルの下落リスクを一段と高める可能性がある。

しかし実際には、FRBがマイナス金利政策を導入する可能性は低い。今後、政策金利の引き下げが進み、再びゼロに接近する場合には、マイナス金利政策ではなく、金利のフォワードガイダンス(政策方針)の修正と資産買入れの再開で対応する可能性が高いだろう。

米国ではマイナス金利政策導入に法的な問題

かなり以前のことであるが、2010年8月に、FRBのスタッフは、中銀当座預金の付利金利をゼロあるいはマイナスの水準に引き下げることの効果についてのメモを、米連邦公開市場委員会(FOMC)に提出している。同政策の導入には慎重な判断を示す内容であったが、その理由は主に技術的なものである。元FRB議長のバーナンキ氏はそれを以下のように説明している。

第1はオペレーション上の問題であり、システム変更の必要性や、現金需要増加の可能性などである。

第2に法的な問題であり、FRBが銀行に対してマイナスの当座預金金利を押し付ける権限を持っているか否かという点である。この法的な制約は、FRBにとっては他の中央銀行と比べて、そして多くの人が考えるよりもずっと厳しい問題だ。法律の条文は、「FRBは準備預金に対する金利を銀行に支払うことができる(the Fed can pay banks interest on their reserves)とされているだけであり、その金利をマイナスにする、つまり銀行がFRBに金利を支払うことが認められるか否かは明確でない。

またそれが認められない場合には、FRBが決済機能を持つ銀行の準備預金に対して手数料を徴収できるか、という可能性が検討される。しかしその際の問題は、法律は、「FRBがサービスに課す手数料は、長期間のコストを反映するもの」と規定していることである。FRBが銀行の準備預金を保持する直接的なコストは、実際には低い。

他方で、準備預金に対する手数料を、決済機能サービスに対する対価ではなく、銀行に対する監督、規制の対価とする解釈もあり得る。

いずれにしても、FRBがマイナス金利政策を導入する際には、こうした極めて複雑な法的問題をクリアする必要がある。

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最終更新:9/13(金) 8:35
NRI研究員の時事解説

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