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「ワケありビジネス」の心理学 欠点を伝えのは先か?後か?

9/13(金) 8:10配信

NIKKEI STYLE

《連載》知らないと大変!ビジネス法則

先日、久しぶりに家族で大型のアウトレットモールに買い物に行きました。晴天の日曜日ということもあり、大勢の買い物客で大変な賑わいを見せていました。

アウトレットは、1980年代にアメリカで生まれた流通業のイノベーションです。今までは廃棄していたような商品を低価格で提供することで、消費者の支持を獲得しました。そこには、顧客の心理を巧みについたマーケティング戦略があります。何だかお分かりになりますか。

アウトレットで売られているのは、型オチ、傷モノ、返品、不良在庫などのいわゆる「ワケあり」商品です。親切にも、商品のタグにワケを書いてくれているメーカーもあります。

■隆盛する「ワケあり」ビジネス

とはいえ、商品はすべて正規品であり、俗に言う「バッタもん」(まがい物)ではありません。外見上も使用上もまったく問題がないものばかりです。

今までは日陰者だったワケありを、堂々とワケありとして売る。消費者もワケありを承知して、明るく楽しくワケありとして買う。今となっては当たり前になりましたが、これがまさにアウトレットの革新性です。

アウトレットが切り拓いたワケありビジネスは小売店のみならず、通信販売、ホテル、レストランなど、今では多方面に広がっています。いずれもワケ、すなわち本来は隠すべきマイナス面をあえて見せることで、安心感を高めていく作戦です。そこに心理学の一つの原理が働いているのです。

顧客に商品やサービスをアピールするときは、長所やメリットを伝えるのが一般的です。「この商品は性能が抜群で、デザインもクール、しかもお求めやすい価格になっています」といった具合に。長所という一つの側面だけを伝えることから「一面提示」と呼びます。

■良いことばかり言われると疑り深くなる

普段、皆さんが上司に企画を提案する際にも、この方法を使っているはず。いかに提案が優れているか、採用すればどんなよいことがあるか、を力説するのではないでしょうか。

ところが、前回お話したように、人は説得されると抵抗するという性質があります。良い点ばかりプッシュされると、「本当にそんなに良いのか」「何か都合の悪いことを隠しているのではないか」という疑念が生まれないとも限りません。

そんなときは、あえて欠点やデメリットを伝えると、損得のバランスを相手自身が判断できます。良い点と悪い点の両方を使って説得することから「両面提示」と呼びます。

「操作が少し煩雑なのですが、基本性能はピカイチです」「30分ほどお待ちいただくのですが、ここでしか食べられない絶品です」「実現が難しいかもしれませんが、業務効率が飛躍的にアップします」といったように。

アウトレットは、まさに両面提示をビジネスモデルにしたものです。「いろいろワケありですが、格安のお値段でお求めできます」と。だから、私たちは安心して買い物が楽しめるわけです。

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最終更新:9/13(金) 9:42
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