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映画『みとりし』:看取り士・柴田久美子「誰もが幸せな最期を迎えられる社会に」

9/13(金) 14:40配信

nippon.com

余命宣告を受けた人々の最期に寄り添う「看取り士」という職業がある。これを題材にした映画『みとりし』の公開(9月13日)を機に、主人公のモデルである柴田久美子さんに話を聞いた。自ら数々の臨終の場面に立ち会いながら、「看取り」の考えや方法を体系化し、看取り士を養成する組織作りに力を尽くしてきた柴田さん。その強烈な体験を経た独自の死生観は、これからの「多死社会」を生きる私たちにとって貴重な示唆となるはずだ。

2020年を迎えると同時に、団塊の世代すべてが70歳代になる。高齢化社会から多死社会へと移行していくのは時間の問題だ。誰にも訪れる死が、これまで以上に「身近」になる時代にありながら、私たちはどこまで死と向き合っているだろうか。そんなことを改めて考えさせてくれる映画が『みとりし』(白羽弥仁監督、榎木孝明主演)だ。

多くの人々にとって、「看取り士」という響き自体が耳慣れないだろう。これは映画の原案となった『私は、看取り士。』の著者、柴田久美子さんから生まれた言葉であり、概念である。社団法人「日本看取り士会」を創設し、「看取り」の考え方やメソッドを1つの体系にまとめ、誰もが学べる講座の形にして資格を与え、職業として確立した。現在は全国11カ所にある「みとりステーション」で600人ほどが看取り士として働く。

あの世へ旅立つ人を見送る職業と聞くと、米アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『おくりびと』(2008年、滝田洋二郎監督)に登場する「納棺師」を思い起こす人があるだろう。しかしこれは人が亡くなった後、火葬するまでの間を担当する仕事だ。一方、看取り士は、余命宣告を受けた人とその家族に対して、相談から始まり、息を引き取る瞬間と、その後の時間に寄り添うためのケアを務めとする。

柴田さんは、自身が確立した看取りについてこう語る。

「これまでの看取るという考え方と大きく異なるのは、ご臨終の瞬間に終わるのではなく、冷たくなるまで触れ合ってお別れすること。私はこれまで200人くらいでしょうか、亡くなる人を抱きかかえてきましたが、そこで感じ取るのは、体の熱なんです。その温もりが残っている時間というのは、神様が与えてくれたギフトだと思っています。愛する人とさよならするとき、当然離れたくないじゃないですか。でもやがて遺体は焼かれてしまう。その前にゆっくりお別れの時間を一緒に過ごしていただくということなんです」

柴田さんは02年にNPO法人「なごみの里」を開設して以来、その10年後の「日本看取り士会」設立を経て、看取り一筋に長い年月を捧げてきた。ここで柴田さんの半生を足早に振り返ってみたい。社会人としての意外なスタートと、その後の壮絶な闘いに驚くに違いない。

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最終更新:9/13(金) 14:40
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