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ガンダム生誕40周年:世代を超えて語り継がれる古典アニメとは

9/13(金) 15:02配信

nippon.com

氷川 竜介

1979年のテレビ放送開始から40年を迎えた『機動戦士ガンダム』。ロボットアニメに革命をもたらした記念碑的作品で、その人気は今も衰えることがない。

『機動戦士ガンダム』の放送開始40周年に当たる今年は、さまざまな記念イベントが開催中だ。単に作品の生誕を祝うのみならず、日本の社会や生活に広く結びついているものが多く、過去のアニバーサリーとは一線を画している。中でも「G-SATELLITE 宇宙へ」というプロジェクトは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と東京大学が連携して2020年の東京五輪・パラリンピックへの応援メッセージを宇宙から送るという点で、ガンダムの示した「宇宙時代のビジョン」を現実にフィードバックしたものとして注目を集めている。そこにはガンダムを糧に未来感覚を養い、成長して実績を上げてきた産学関係者の熱い視線と、40年という歳月の重みが感じられる。

これほど大きな影響力を持つ『機動戦士ガンダム』とは、どんな作品なのだろうか。ここでは第1作の原点に立ち戻ることで、本質を探っていきたい。

アニメファンの成長と成熟

日本の商業アニメーション(アニメ)は、長い年月をかけて作品のバリエーションが豊かになり、現在も進化を続けている。その発展の大きなきっかけの一つが『機動戦士ガンダム』である。

アニメは長らく「子ども向け」とされてきた。1963年、30分テレビシリーズの『鉄腕アトム』をきっかけに、アニメづくりが定常的に量産されるようになってもしばらくはそう思われてきた。その状況を激変させたのが、74年のテレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト』だった。放送された当時は低視聴率だったが、77年に公開された再編集映画が大ヒットし、視聴者層が成長してティーンエージャーとなったことがマスコミにも取り上げられた。見ごたえのある豊かな内容が、アニメ作品に求められる時代となったのである。

日本では漫画原作のアニメが多かったが、78年に月刊誌「アニメージュ」が創刊されたことで状況が変化する。専門性の高い記事が載るようになったことで、それまで「漫画家のアシスタントたちがアニメを制作している」かのように漠然と思われていたのに対して、「アニメ専門の会社があって映像クリエーターたちが共同で作業している」という事実がより正確に周知されるようになったからだ。その結果、アニメの世界には、漫画とは違った映像独自のクリエイションの作法や技法があることをアニメファンは知った。そしてオリジナリティーのある創作を志すスタッフが大勢いて、明確な考え方を持ってキャラクターやストーリー作りが行われていることが次第に明らかになっていった。こうした中で「もっとすごい作品はないか?」とファンの期待が高まった79年に、『機動戦士ガンダム』が登場した。それはまさにベストタイミングだった。

同作は漫画や小説など既出の原作を持たないオリジナル・アニメである。原作・総監督は富野由悠季、キャラクターデザインとアニメーションディレクターは安彦良和、メカニカルデザインは大河原邦男と、メインはアニメクリエイターで固められている(敬称略)。それゆえ「アニメ映像でしか得られない興奮、未知の物語への驚き」が生まれ、ファンは熱狂した。複雑に編み上げられた濃厚な世界観と物語は読解に骨の折れるものだったが、その難解さも含めてファンは楽しんだ。

この状況を後押ししたのは普及の拡大期にあった家庭用ビデオデッキだ。一度見ただけでは分かりにくい伏線や細部も検証できるようになり、友人に薦めることも可能となった。これは80年代中盤の「ビデオソフト販売時代」の先駆けである。その意味においても、『機動戦士ガンダム』は時代の節目にふさわしい、シンボリックなアニメ作品だった。

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最終更新:9/13(金) 15:02
nippon.com

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