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大手デベロッパーでも「狭小」分譲住宅を手掛ける裏事情とは

9/13(金) 14:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

本記事では、不動産投資アドバイザーでCFPファイナンシャルプランナーの大林弘道氏の著書、『儲ける不動産ビジネス 7つの新規事業アイディア』より一部を抜粋し、投資をはじめとした不動産ビジネスをめぐる課題を解決するための具体的なアイデアを提案していきます。今回は、「コーポラティブハウス」プロジェクトの優位性について解説します。

住宅地の古い一戸建てが取り壊されたと思ったら…

住宅地エリアに土地の売物件がでたとしても、面積が広いと価格が大きくなりすぎるため、個人では購入資力が伴わないケースがでてきます。地価の高い首都圏だとなおさらです。この場合、ハウスメーカーや建築工務店が買手となることが多くなります。

ハウスメーカー等は資金力を活かしてその土地を取得し、自社の建物を供給する素地として活用するのです。それが自社商品を企画、販売するのに効率が高いからです。分割した土地上には、あらかじめ戸建てを建築して建売住宅として販売する場合もあれば、その会社で建築することを条件に土地販売する場合もあります。

自社の建物にさほど特徴(デザイン、耐震性能、換気システムなど)を打ち出せず、顧客認知度も高くない地場のハウスメーカーや建築工務店はこうした建売事業に活路を見いだすことが多くなります。住宅地の古い一戸建てが取り壊されたと思ったら、3棟くらいの狭小住宅が建てられる準備が始まり、現地でテントが張られて営業マンが販売をする…そんな景色をよく目にします。ミニプロ(ジェクト)などとよく言われる現場です。

このようなミニプロ現場で、特に一次取得者(初めて家を買う人)向けに、建売戸建を供給する事業を行う中堅ハウスメーカーをパワービルダーと言います。マンション価格が高騰する中、建築部材の大量仕入れをテコに割安感のある建売分譲住宅を展開するこの業態は昨今業績を伸ばしています。

「東京に家を買おう」のCMで有名なオープンハウスはその代表的な会社です。セキスイハウスや大和ハウスといった大手ハウスメーカーも、土地を持っていない人に注文戸建てを売っていくために、ミニプロに近いプロジェクトを多く手がけています。首都圏における価格レンジとしては、パワービルダーが2000万円~4000万円、大手ハウスメーカーが3000万円~6000万円のイメージです。

さらに総合デベロッパーでも街区づくりレベル、面開発で建売分譲を行うケースがあります。三井不動産のファインコートや野村不動産のプラウドシーズンがこれにあたり、こちらの価格レンジは6000万円~1億円ぐらいとなっています。

こうして、広めの土地は、割安な価格となった上で、個人ではなくプロに買われていくということが多くなっていきます。とはいえ、売主だって少しでも高く売りたいと考えるわけなので、割安になってしまう中でも、一番高い価格提示をする相手先に売却することになります。この場合一番札をとれるのは、できるだけ土地区画を小さく分割して、自社の建売住宅を多く建設、販売するプランをいれるハウスメーカーもしくは工務店となります。建物の棟数分だけ利益を稼げるので敷地を高く取得しても採算があうのです。

基本的に建物の敷地は道路に2m以上接道していなければなりませんが、その要件を満たすことができれば、多少窮屈であっても敷地を分割していきます。旗竿地とよばれる形(接道が2m程度で、敷地が奥まっている土地形状)が二重、三重にできるイメージです。

また敷地が狭いと斜線制限(隣地の日照等確保のための建築基準)の影響を大きく受けます。斜線制限に抵触しないようにするには屋根を斜めにしなければなりません。こうして、いわゆる狭小3階建ての建売住宅が供給されていきます。間取りは1階が駐車場とお風呂、2階がリビングキッチン、3階が各居室というプランが多くなります。

しかも3階の居室は天井が低くなってしまうし、主婦は1日に何往復も階段の上り下りをしなければなりません。もちろん価格の安さや、マンションと異なり管理費や修繕積立金といったランニングコストがないというメリットはありますが、建売住宅は20年後に建物評価がゼロになってしまいます。

中古流通価格がしっかりと存続していく分譲マンションに比べ、見劣りしてしまうので、建売住宅かマンションか、その選択においては長期の視点で考えなければなりません。

ちなみに住宅密集地になってしまうと火災などの災害時に危険が増えるとして、行政は狭小住宅の展開にネガティブです。また街並みの景観を守るべき高級住宅地では、一定面積以下の宅地には新たに建物を建ててはいけないと定めている(建築協定)ところも少なくありません。

いずれにしても、土地を持ってない人が、好きな場所で好きな注文住宅を建築したいという希望はなかなか実現しにくくなっているのが現実です。

「コーポラティブ型土地購入」はこの人たちの想いを実現に近づけていきます(関連記事『 大手参入も…日本で「不動産オークション」が根付かないワケ 』参照)。

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最終更新:9/13(金) 14:00
幻冬舎ゴールドオンライン

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