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「ダウ暴落、1ドル=65円時代が来る」と読む理由

9/13(金) 6:00配信

東洋経済オンライン

7月16日にNYダウは過去最高値の2万7398ドルをつけたものの、その後は微妙だ。今は十分に高い水準にあると言えるが、ニューヨーク在住の現役トレーダー、若林栄四氏は1ドル=65円、NYダウはいずれ8701ドルまで下落するとみる。その真意を聞いた。

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■「企業価値を時価総額で測る」のは間違い

 アメリカの株価は明らかに割高です。では何をもって割高と考えるのかですが、一般的に用いられるPER(株価収益率)は単に人気度を測る指標にすぎず、そこに本質的な意味はないと言ってもよいでしょう。

 それはPERの計算式を考えれば明らかです。PERは株価÷1株当たり利益で計算されますが、これはそのまま「時価総額÷利益総額」に置き換えられます。そこで問題になるのが時価総額です。よく「企業価値は時価総額で計られる」などと言う人がいますが、これは明らかに間違った認識です。

 もし、株式を持っている投資家が全員、その株式を手放して現金化しようとすれば、売却前の時価で売ることはできなくなります。つまり、時価総額は徒花(あだばな)のようなものであり、PERはその関数なので、これをもって株価を論じるのは、壊れた物差しで測っているのと同じことです。

 また1株当たり利益も、自己株買いで株数を減らせるので、人為的な操作の対象になりやすく、必ずしも信用できる数字ではありません。

 唯一、株式を発行している会社の本質的な価値を測るのに信頼できる数字は、その会社が持っている純資産です。つまりPBR(株価純資産倍率)で評価するのが妥当なのですが、アメリカ株のそれは2019年7月時点で3.5倍です。ちなみに日本は1.2倍、イギリスは1.8倍、ドイツは1.6倍ですから、いかに今のアメリカ株が大幅な割高水準にあるのかが、おわかりいただけるでしょう。

 さて、アメリカでは経営者を評価する指標としてROE(自己資本利益率)が重視されます。これは自己資本に対してどれだけの利益を上げたのかを測る指標で、純利益を自己資本で割って求められます。この数字をいかに最大化するかに、アメリカの企業経営者は奔走するわけですが、それはROEが上昇するとボーナスとしてストックオプションがもらえるからです。

■借金による自己株買いで米企業の体力は落ちている

 ROEを上昇させるためには、分母の自己資本を下げるのが手っ取り早い方法です。自己資本を減らすには発行株数を減らせば済むので、アメリカの会社は積極的に自己株買いを行います。自己株買いをすれば、株式市場では需給がタイトになって株価が上昇しやすくなり、かつROEも上昇するわけです。実際、自己株買いを発表すると、その会社の株価は平均で4.2%上昇するというデータもあります。こうして株価が上昇したタイミングを狙って、経営者などのインサイダーは手持ちの株式を一斉に売って現金化するのです。

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最終更新:9/14(土) 5:58
東洋経済オンライン

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