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MMTが「こんなに誤解される理由」を考えてみた

9/13(金) 8:00配信

東洋経済オンライン

イギリスでは最近、MMT(現代貨幣理論)の「教科書」までもが発売され、大部の専門書であるにもかかわらず、すぐに売り切れたという。アメリカでは、MMTは次期大統領選の趨勢を左右する要因の1つと目されている。日本でも、来日したMMT派の学者、ステファニー・ケルトンの講演は大盛況だった。
今年に入り一気にブレイクした感のあるMMTだが、先日、中心的な著作の日本語訳『MMT現代貨幣理論入門』(L・ランダル・レイ著)が刊行された。最新のエディションに準拠し、ここ数年の事象がアップデートされ、例えばビットコインについての言及もある。

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今後も注目され続けるであろうMMTだが、いまだ誤解も多いのも事実だ。そこで、最新文献を参照しつつ、MMTの特徴とよくある誤解、論点を示しつつ、取り巻く状況について解説する。

■MMTはなぜ誤解されるのか? 

 経済理論「MMT」に、人々は2度驚く。まずは内容の過激さに、次にはその論理の堅牢さに。少なくとも私はそうだったが、とくに多くの経済学者や専門家にとってはそうだろう。MMTへの反応が、激しくなる傾向にあるのには理由がある。

 MMTは「貨幣とは何か?」から始まる経済理論である。「貨幣は金の引換券」(金属主義)ではなく「貨幣は負債の記録」(名目主義)とし、そこから敷衍して経済全体のメカニズムを統合的に論じるのが最大の特徴だ。

 MMTが注目される理由は、MMTの主張がいわゆる現在の”主流派”の構築する経済学とかならずしも整合しないところがあり、軋轢を生んでいるところにある。主流派経済学からは”異端”的に扱われ論難され、その攻撃の激しさも衆目を集めるきっかけとなっている。まさに”受難の経済学”とでもいうべき風情がMMTにはある。

 では、MMTははたして主流派が決して容認できないほど誤った”教義”なのだろうか。

 私は「貨幣とは何か?」に関しての前提が、MMTと主流派でまったく異なっているというわけではなく、むしろ共通しているといってもいい、と考えている。

 それではなぜ軋轢が生じるのか? 

 MMTは、貨幣に関するメカニズムに事実ベースで立脚しつつ、上述の「貨幣の名目主義」に関して首尾一貫している。

 それに対し、主流派の学説は経済に関する規範理論(あるべき姿)がまず根幹にあって、その規範はレッセ・フェール(自由放任)を原則にしている。その規範から派生して実際に即した各論(貨幣論含む)を整備してきた、という背景が大まかに言えばある。

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最終更新:9/13(金) 8:00
東洋経済オンライン

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