ここから本文です

自転車こぎなども有効 心臓リハビリで再発防げ

9/14(土) 7:47配信

NIKKEI STYLE

心筋梗塞など心臓の病気にかかった人が治療後に再発するケースは珍しくない。加齢とともに重い心不全へと進行することもある。そうしたリスクを低下させるケアとして注目されているのが心臓リハビリテーションだ。脳卒中後のリハビリなどと比べなじみが薄いが、専用施設を設けて取り組む医療機関も増えてきた。
東京都文京区の順天堂大学順天堂医院の病棟8階にある「心臓リハビリテーション室」。フロアの中心に歩行トラックが設けられ、トレッドミルや自転車型トレーニングマシン、筋トレ用の器具などが置かれている。フィットネスクラブのような雰囲気だ。
利用しているのは心臓血管のカテーテル治療や心臓手術を終えたばかりの入院患者や、退院後にリハビリテーションを続けている人たち。健康チェックを受けた後、プログラムに従って、ウオーキングや自転車こぎなどの有酸素運動、次いで負荷をかけた筋肉トレーニングをこなしていく。
フロアの一角にある部屋では心肺機能をチェックするための負荷試験や、栄養士による食事指導なども適宜実施されている。
心臓リハビリテーションの主な対象となるのは「急性心筋梗塞」「心臓手術後」「慢性心不全」の3つ。他に「狭心症」や大動脈解離、解離性大動脈瘤など「大血管疾患」など合計7つが公的医療保険の適用対象になっている。退院後でもリハビリ開始後150日までは公的保険が利用できる。
脳卒中など脳・神経系のリハビリでは、マヒした手足を動かすため、モノをつかんで運ぶといった課題を与えて訓練する内容が多い。これに対して心臓リハビリは有酸素運動や筋トレなどで体全体を動かし、代謝や心肺機能を改善することを主な目的としている。
「心臓手術後のリハビリテーションは古くからあったが、近年、運動療法が様々な経路を通じて心疾患の再発防止に有効であることがはっきりしてきた」。同大学の代田浩之・保健医療学部長(循環器内科学特任教授)は、その効能を説明する。
まず挙げられるのが動脈硬化を遅らせる効果だ。悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロールが血管壁にたまることで動脈硬化が進行する。そこから発生した血栓で起きる急性心筋梗塞や心筋症を急性冠症候群と呼んでいる。
代田氏らの研究グループは2013~16年に急性冠症候群で入院してカテーテル治療などを施した患者32人を対象に心臓リハビリテーションを実施し、身体活動の量と動脈硬化の程度を表す冠動脈のプラーク量を比較した。一日の平均歩数が7000歩を超えるなど身体活動量の多い患者ほどプラーク量が顕著に減っている傾向が確認された。
運動による効果はほかにもある。「末梢(まっしょう)血管の働きが改善される。筋肉から分泌される物質が循環器系によい影響を与えることも近年報告されている」(代田氏)。高齢化によるフレイル(虚弱)を予防する観点から効果が期待されている。
日本循環器学会の調査によると、カテーテル治療などに対応した主要な病院の大半は心臓リハビリテーションを実施している。ただ本格的な施設・スタッフを備え、通院リハビリにも対応しているところはこのうち約半数にとどまっているという。実施体制の一層の充実が求められている。
◇  ◇  ◇

1/2ページ

最終更新:9/14(土) 7:47
NIKKEI STYLE

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事