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自分がされた子育てを、子どもにしてしまいがちな理由 ―親の「養育態度」の分類―

9/14(土) 8:31配信

教員養成セミナー

親の養育態度で子どもの性格が変わる !?

【子育ての仕方はさまざま】

 子どもは親を選んで生まれてはいません。生まれたところにいた人が親なのですが、生まれた当初はどのような人なのかは分かりません。でも、最初は30~50c m 先の所にしか焦点が合わないつぶらな瞳でじっくり観察していると、いつも同じ人が世話をしてくれていることに気づきます。その人の顔を覚え、この人なら大丈夫ということで信頼が芽生えます。エリクソンが指摘するところの乳児期の「心理社会的危機」を乗り越えるのです。

 信頼する人の顔が見えなくなると不安になります。これが生後6カ月頃から現れる人見知りです。子どもが人見知りを起こすようになったら、親は喜んでほしいですね。というのも、人見知りは、子どもに自分の顔を覚えてもらい、さらには信頼を勝ち得た証ですから、誇っていいのです。こうして親子の間にしっかりとした絆、すなわちアタッチメント(愛着)が形成され、親の保護の元で子どもはすくすくと育っていきます。

 しかし、家庭によって育て方はまったく異なります。大学生に親から受けたしつけについて尋ねると、たとえば中学生の頃の門限にしても18時21 時、さらには門限が決まっていない家庭までさまざまでした。子育ての仕方に正解はありません。そのために誰もが悩むのですが、唯一手がかりとなるのが自分の親の子育ての仕方です。その結果、幸か不幸か自分が育てられた方法とほぼ同じような育て方を子どもにすることが多くなりがちです。


【養育のされ方によって性格が異なる】

 サイモンズという女性の心理学者は、親の養育態度を「支配―服従」と「受容―拒否」という2つの次元でとらえました。果たしてこの2次元で十分かという点では疑問を持つかも知れませんが、ひとつの考え方だと思ってください。支配的で受容的だと過保護型、服従的で受容的だと甘やかし型、服従的で拒否的だと無関心型、そして最後に支配的で拒否的だと残酷型とそれぞれ命名しました。

 しかしながらこのような子育てに対する姿勢は、子どもの出生順位や性別などによっても変わってきます。たとえば、きょうだいの中で最初に生まれた長子は過保護型に、逆に最後に生まれた末子は甘やかし型になりやすいのではないですか。もっとも分かりやすいのは写真の枚数でしょう。長子は毎日のように写真を撮りますが、末子はイベントでもない限り撮らなくなります。入浴の際も、長子の時はしっかりと温度計で湯の熱さを調節しますが、末子なら親が手を入れて確認するくらいです。つまり長子の場合、子ども本人だけではなく親にとってもすべてが初体験なので、入園、入学、進学はもちろん、あらゆるものに過敏に反応し、結果として過保護な育て方をしてしまうため、子どもが神経質になりやすいとされます。これに対して末子の場合、親もゆとりを持って子育てに臨め、多少のことには動じません。しかも最後の子だと思っていますから、何でも許してしまいます。その結果、子どもは甘やかされてしまうのです。そのため、同級生であっても、兄か弟か、姉か妹かによって性格が異なります。小学校の低学年であれば、兄や姉がクラスのリーダーになりやすいです。

 親は精一杯の子育てをしています。どのような人になってほしいかなどを考えながら子どもをしつけます。今のあなたも親の期待を背負っているのではないですか。それはどのような期待でしょうか。大人になった今、じっくりと振り返り、考えてみるのも良いかと思います。


古川 聡
(国立音楽大学音楽学部教授)筑波大学大学院心理学研究科博士課程単位所得満期退学。学術博士(筑波大学)

※『月刊教員養成セミナー 2019年10月号』
「なぜ !? どうして !? 子どもの行動で分かる 教育心理入門」より

最終更新:9/14(土) 8:31
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