ここから本文です

記憶を失った総理大臣に挑戦! 中井貴一さんにインタビュー

9/14(土) 18:11配信

25ansオンライン

コメディからシリアスなものまで幅広い役柄で観客を魅了する中井貴一さん。何度もタッグを組んだ三谷幸喜さんの最新映画で、記憶を失った総理大臣に挑戦です。

記憶をなくす前となくした後、 黒田の両面が僕にもあります

「三谷幸喜ワールドの王道の映画になったという気がしますね。ファンタジックで政治を大きくくるみながらも、政治ドラマにするのではなく、ホームドラマにしていく手法は、三谷さんならでは」
 
数々の傑作を送り出してきた三谷幸喜さんの最新監督作『記憶にございません!』で、中井貴一さんは総理大臣・黒田啓介を演じています。金と権力に目がないダメ総理だった黒田は、一般市民の投げた石が頭に当たり、記憶喪失になったことから、一夜にして善良で素朴な普通のおじさんに変貌。国政の混乱を避けるため、側近たちがその事実を家族にも隠すなか、黒田は日々の公務をこなすことに…。
アテ書きされたキャラクターで、中井さんは、生まれ変わった黒田の誠実さはもちろん、記憶を失う前の傲慢で口の悪い黒田でも楽しませてくれます。

「三谷さんはたぶん、僕のことを僕以上にわかってる。何本もの作品で艱難辛苦をともにしているので、芝居をすることによって丸裸になった素をそばで見ているわけですから。黒田が記憶をなくす前と後の両面が僕の中にあることもよくご存知で書かれたんだと思います。悪い黒田は、スタッフにも人気があったんですよ(笑)。僕も、自分なりのダンディズムを持っているあの悪い総理の生き方は好きだなと思って演じていましたね。黒田は政治家の世界で生きていくために、あのポジションに合わせて自分を作り上げた。でも、記憶を失うことによって、そういうてらいや見栄みたいなものを全て失った。これは、記憶を失ったことで人間が変わっていく話ではなく、てらいや見栄をなくした人間の原点回帰の話だと思っています」

古き良きアメリカ映画の 、ダンディズムに通じるもの

そう、記憶を失ったことをきっかけに、黒田は総理大臣として、夫として、父として、自分がなりたかった姿を見つめ直します。笑いのなかに、人生の幸せを抱きしめさせてくれる物語は、まさに三谷幸喜ワールド。と、同時に、自分自身の理想の姿も見つめさせてくれます。

「僕も、ほんとはもっと逃げない人間でありたいと思っているんです。でも、理想の人間になれていないから、理想の姿を追い求めて生きていけるのかな。僕は子供の頃からヒッチコックなど古い映画が好きで、グレゴリー・ペックとかジェームズ・スチュアートが持つダンディズムに憧れたんですよね。彼らのような大人になりたいと思っていました」。 

すると、20代の頃にある出来事が。お父様である昭和の大スター、佐田啓二さんに言われてゴルフを始めたという方から、興味深い話を聞いたそう。

「うちの親父と一緒に初めてコースを回ったときに、ご自身が初心者なので全然進まなくて、恐縮されていたそうなんです。すると、うちの親父が、“いいんだよ。ゴルフはスコアじゃない。どんなにスコアが良くても、マナーの悪い人とは二度と一緒に回ろうとは思わない。でも、下手でもマナーがよくて一生懸命な人とは、また回りたいと思う。何よりも大切なのはそのことだ”と言ったと。その方は、以来、気持ちよく一日を過ごせることを考えてゴルフをするようになられたそうです。僕は親父のことを全然知りません。でも、それを聞いて、“あ、僕はあの人の息子だったんだな”と思いましたね。古いアメリカ映画で観た俳優さんたちに憧れたのは、父のその言葉に通じるものが彼らから感じ取れていたからな気がしたんですよね」

1/2ページ

最終更新:9/14(土) 18:11
25ansオンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事