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地中海に「失われた大陸」があった、今も残るその痕跡とは 最新研究

9/14(土) 16:31配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

大アドリア大陸と命名

 ヨーロッパのアドリア海を取り巻く山岳地帯は、太古に失われた大陸の痕跡かもしれない。

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 9月3日付けで学術誌「Gondwana Research」に発表された論文によると、これらの山々は、太古に崩壊した、グリーンランドほどの大きさの大陸の残骸だという。研究では、過去2億4000万年にわたる地中海のプレート変動の歴史を詳しく再現することに成功した。

 研究チームはこの大陸を「大アドリア大陸」と名付けた。大アドリア大陸は、まず超大陸から分離して形成された。しかし、複数のプレートが容赦なくぶつかり合うなか、この大陸は、数カ所の沈み込み帯に引きずり込まれた。

 大アドリア大陸は、地球の奥深くに沈み込む際、上に重なったプレートによってその最上層を削り取られた。まるで巨人が巨大なリンゴの皮を剥くような具合だ。こうして削り取られた残骸が、イタリアの背骨と呼ばれるアペニン山脈のほか、トルコやギリシャ、アルプス、バルカン半島の山々を形成する礎となった。

 一方で、大アドリア大陸の一部は沈み込むことも削り取られることもなく、残った。その名残は現在、イタリアのブーツのかかと部に見られ、ベネチアからトリノにかけて散在し、クロアチアのイストリア地方でも確認できる。つまり、失われた大陸の断片は絶好のリゾートとなっているわけだ。

 断片になった地質学的な過去を再構築することが、現在を知る鍵になると、今回の論文の著者であるオランダ、ユトレヒト大学の地質学者ダウエ・ファン・ヒンスベルゲン氏は言う。

時計の針を巻き戻す

 三畳紀(2億5000万年前~2億130万年前)以降の地中海の大陸移動を再現するには、重大な課題がいくつかあった。これまでもかなりの時間をかけて調べられてきたが、地質のジグソーパズルは非常に難解で、詳細な分析は困難だった。

「地中海は、めちゃくちゃなのです」と米テキサス大学ダラス校のプレートテクトニクスの専門家ロバート・スターン氏は話す。なお、同氏は今回の研究には関わっていない。

 乱雑な地中海エリアで、数人の地質学者が過去にも、失われた大陸の存在を示すヒントを発見してきた。だが、その説を詳しく解き明かすのは困難だった。大陸の残骸は30カ国ほどに散らばり、それぞれに独自のモデルや調査が行われてきたからだ。

 物事を整理するため、研究チームは10年を費やし、地中海地域全体から膨大な地質学的なデータを収集、GPlatesというソフトウエアを用いて自分たちのモデルに当てはめた。このソフトウエアのおかげで、過去15年ほどでプレートテクトニクスのより詳細な視覚化と微調整が可能になった。研究チームは忍耐強く作業を行い、失われた大陸の物語に欠けていた章を明らかにした。

 およそ2億4000万年前、大アドリア大陸はパンゲア超大陸の一部だった。だが2000万年後に現在のアフリカから離れ、それからさらに4000万年後に現在のフランスとスペインから分離し、孤立した大陸になった。

 大アドリア大陸の地形についてはまだ謎に包まれているが、おそらく大部分が水面下に沈んでおり、複数の島が海から顔を出していたと考えられる。海からニュージーランドとニューカレドニアが顔を出すジーランディア大陸のようなものだ。あるいは、米フロリダキーズのように、群島が波間に浮かんでいたのかもしれない。

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