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仲の悪い兄弟…相続相談にのる税理士に弁護士から一本の電話

9/14(土) 10:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

争いが絶えないことから「争族」と揶揄される「相続トラブル」。当事者にならないために、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが肝心です。今回は相続業務を行っていた税理士に振りかかった相続トラブルについて、円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

仲の悪い兄弟…遺産分割協議はどう進める?

突然の身内の不幸に、多くの人はその後何をしたらいいのかわからなくなります。そんな時に誰に何を相談したらいいのでしょうか? 弁護士や司法書士、行政書士、税理士、また銀行や生命保険の担当者……と、常日頃からお付き合いのある信頼できる専門家がいるのあれば相談するのがベストです。

しかしそんな専門家が相続トラブルの巻き込まれたり、引き金を引いてしまうこともあります。今回は、ある税理士が相続トラブルに巻き込まれた話をしましょう。登場人物は以下の通りです。

A社長

Bさん(A社長、Cさんの父)

Cさん(A社長の弟)

Dさん(A社長が経営する担当税理士)

地方のある町で工場を経営するA社長。10年前に父であるBさんから事業を継ぎ、日々忙しく過ごしています。父のBさんは引退後、悠々自適な毎日。またA社長の弟であるCさんは、元々父であるBさんとそりが合わず、高校卒業後に実家を離れ、最近では実家にも顔を出すことがなくなりました。

「父さん、最近、Cとは話したかい?」

「もうかれこれ、3年くらい顔を見てなければ、声も聞いてねえなあ」

「そうなんだ。私も全然話してないんだよ。来月、お母さんの十三回忌だから、帰って来いって言ってよ」

「顔を合わしても喧嘩になるだけだしな。俺とお前だけいればいいじゃないか。その方が母さんも安心だろ」

「そうかい……」

このような調子で、A社長と父のBさんは、弟のCさんと、どんどん疎遠になってしまったのです。

そして月日は流れ、元気だったBさんが亡くなりました。葬儀にはCさんも出席しましたが、兄弟の会話はほとんどなし。葬儀後、Cさんは何も言わずに帰っていってしまいました。

ある日、A社長は税理士のDさんを会社に呼びました。

「Dさん、相談があるんだけど」

「なんですか、社長」

「父の遺産なんだけど、調べたら色々出てきて。まったく話をしないとはいえ、私には弟がいるだろ。遺産をどのように分けるか、私だけで決めるわけにはいかない。そこで、Dさんが間に入ってほしんだ」

「Cさんですね、私も何度かしか会ったことはないのですが、A社長が直接話されるよりいいかもしれませんね。わかりました。私にお任せください」

「ほんと助かるよ」

A社長の要請を受けて、DさんはCさんにコンタクトをとり、遺産分割についてどうするか話を進めていきました。最初はスムーズにいくかと思われましたが、A社長が言っていたように、思いのほか父Bさんの遺産は多く、そのことがわかると、段々と話し合いは雲行きが怪しくなってきたいのです。

「Dさん、遺産分割の話は、進んでる?」

「それが、正直難航していまして。Bさんも遺産の多さに驚いていまして、それで欲が出てきたのではないかと」

「そうか。やはりお金が絡むと身内でも難しいもんだな」

その時、会社の電話が鳴りました。A社長が出ると、その顔がだんだんと険しくなってきました。

「どうしたんですか、社長」

「Dさんに、変われと。弁護士からなんだが……」

「え!?」と驚いたDさん。電話を替わると、Cさんの弁護士と名乗る人物でした。

「もしもしDさんですか。あなた、Cさんの父であるBさんの遺産について、色々動いてらっしゃいますよね。明らかにあなたのしていることは非弁行為ですよ」

電話を切ったDさんは顔面蒼白。

「どうしたんだい、Dさん」

「社長、私、訴えられました」

「えっ?」

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最終更新:9/14(土) 14:48
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