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売掛金にも時効がある…「回収不能」のリスクを避ける方法は?

9/14(土) 11:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

会社間の信用取引において、「お金が支払われない」リスクは絶対に避けなければなりません。また、対策を講じた上で、売掛金等が回収できなかった場合、税務上の処理はどうなるのでしょうか? 税理士法人中央会計の辛島政勇氏が解説します。

信用取引をする前に商業謄本や不動産謄本を確認する

私たちの生活では、モノを購入した時にお金を支払うのが通常ですよね。

しかし会社間での取引の場合、その都度お金を支払っていては、時間も手間もかかってしまいます。そのため、支払いを取引の度にするのではなく、信用に基づき「将来のある一定期日に代金を支払ってもらう」と約束して、モノの売買やサービスの提供をする「信用取引」を採用しています。

たとえば、「当月末締め翌月末回収」等は信用取引の支払方法を表す表現で、当月中の取引分はまとめて翌月末に回収するという意味です。ここで問題となるのが、信用に基づいて取引しているにも関わらず、約束の期日が過ぎても、お金が振り込まれない等のトラブルが発生することです。

では、そのような事態を防ぐためにはどうすればよいか、そして万が一回収不能になったらどうしたらいいのかを、解説していきます。

1.売掛債権とは?

売掛債権とは、信用取引において販売した側が「販売代金を請求することができる権利」をいい、手形を受け取った場合は受取手形、そうでない場合は売掛金となります。

※手形を受け取った時は、その手形を銀行に預けていないと期日にお金が入金されないので、必ず銀行に持って行きましょう。

2.まずは与信管理

まずは、取引先と信用取引を行う前に、ちゃんと期日に支払いをしてくれる会社かどうかを判断しましょう。

◆判断のポイント

●営業担当者からの情報

営業担当者に会社の情報を集めてもらいます。

・会社の雰囲気は?

⇒ もし整理整頓ができていないオフィスなら、こちらから送った請求書をちゃんと管理できていないかもしれません。

・社長の性格は?

⇒ もし社長が浪費家なら、支払いに必要なお金を置いていないかもしれません。

●商業登記簿謄本(履歴事項証明書)からの情報

商業登記簿謄本は誰でも法務局で取得することができます。取得して確認してみましょう。

・本店所在地や代表者がコロコロ変わっていないか?

⇒ コロコロ変えることで、これまでにも債務の支払いをうやむやにしてきた可能性が……。

・資本金の額は?

⇒ 資本金の額が1円等の低資本では、十分な支払い能力があるのかが懸念されます。

●不動産謄本からの情報

もしその会社が不動産を所有していたら、不動産の謄本も確認してみましょう。不動産を持っていること自体はプラス材料ですが、謄本を見てみると、思わぬ落とし穴があるかもしれません。

・担保として莫大な(根)抵当権が設定されていないか?

⇒ 抵当権が設定されていると、不動産を担保に借入れをしている可能性があります。

・通常の金融機関以外の(根)抵当権がついていないか?

⇒ 通常の金融機関以外の(根)抵当権が設定されている場合、より悪い条件で借入れをしている恐れがあります。

・差押え等の登記がされていないか?

⇒ 差押え等をされた事実がないか確認しておきましょう。

・所有者は誰になっているか?

⇒ 所有者の名義を確認しましょう。

上記の項目で問題があっても、信用取引をする必要がある場合は、与信枠を下げ、与信枠を超える部分については、先に入金してもらう等のリスクヘッジをしましょう。

3.信用取引を開始したら

信用取引を開始したら、必ず売掛債権の管理をしましょう。

会計ソフトに取引先別の登録をし、「売掛金の発生」「売掛金の回収」を記帳して、回収状況がすぐわかるようにしておきます。期日に入金がない場合等はすぐに相手先に連絡をいれ、支払い状況がどうなっているのかを確認しましょう。

※会計ソフトに記帳するのが難しい場合は、エクセル等でも大丈夫です。

4.期日が守られなかった時に回収する方法

期日までに回収ができなかった場合、以下のような対応策を取るようにしましょう。

4-1.まずは電話で催促

まずは電話等で期日までに入金がない旨を伝えましょう。支払いができないことに、何らかの事情があるかもしれません。「遅れた理由」「いつの支払いになるか」を確認してください。

ただし、支払うと約束してくれた期日に入金があるかはしっかり確認して、それでも入金がない場合は、必ず再度電話しましょう。

4-2.時効対策!

売掛金にも時効があります。原則として5年(商品売買の売掛金は2年)ですので、売掛金が消滅してしまわないように、時効の中断を検討しましょう※。時効は、(1)請求、(2)差押え・仮差押え又は仮処分、(3)承認によって中断します。

※2020年4月1日以降に生じた債権についての消滅時効期間は、権利を行使することができることを知った日から5年、もしくは、権利を行使することができる時から10年のいずれか早いほうとなります。

たとえば、売掛金の一部回収((3)承認)、債務承諾書の作成((3)承認)でも中断させることができますので、一部売掛金の支払いをしてもらうか、返済計画を立ててもらい、債務承諾書を書いてもらいましょう。売掛金の一部回収、債務承諾書の作成で、時効はリセットされて再スタートします。

4-3.内容証明を送る

何度電話をしても正当な理由がなく入金してくれない場合、内容証明郵便(いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって郵便局が証明する郵便)を送りましょう。詳しくは郵便局のホームページをご覧ください。

※内容証明郵便だと、時効完成は6ヵ月先に延びます((1)請求)。

4-4.少額訴訟をする!

少額訴訟とは、通常の訴訟と違い、少額の金銭について簡便な方法かつ短期間に決着をつけるための制度です。以下のような特徴があります。

●1回の期日で審理を終えて判決をすることが原則

●60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限り利用できる

●訴訟の途中で「和解」することもできる

●判決書又は和解の内容が記載された和解調書に基づき、強制執行を申し立てることができる

●訴訟費用が安く抑えられる

4-5.支払督促を申し立てる

支払督促とは、裁判所から、取引先へ支払いをするよう命令を出してもらう制度です。以下のような特徴があります。

●金銭の支払い又は有価証券若しくは代替物の引渡しを求める場合に限り利用できる

●相手の住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に申し立てる

●書類審査のみなので、訴訟の場合のように審理のために裁判所に行く必要がない

●手数料は、訴訟の場合の半額で済む

●債務者が支払督促に対し異議を申し立てると、民事訴訟の手続きに移行する

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最終更新:9/24(火) 20:48
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