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二階堂ふみ、“太宰治の最後の女”役に「自分の全てを懸けて参加させていただいた」<Interview>

9/14(土) 8:00配信

ザテレビジョン

小栗旬が、天才作家・太宰治を演じる映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」が、9月13日より全国公開中。

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世界で活躍する写真家であり映画監督の蜷川実花がメガホンを取り、太宰が死の直前に完成させた小説「人間失格」の知られざる誕生秘話が描かれる。

“正妻”“愛人”と、太宰のスキャンダラスな恋が物語の軸となる中、二階堂ふみは“太宰治にとって最後の女性”である愛人・山崎富栄役で出演。

インタビューでは、独特の世界観が魅力的な「蜷川組」の印象や他人には分からない太宰と富栄の関係などについて語ってもらった。

――今回、参加した「蜷川組」の印象は?

一言で「私、これが終わったらどうやって生きていけばいいのか」って思ったぐらい、自分の全てを懸けて参加させていただいた作品。

不思議なことに初日からしっかりと空気が出来上がっていて、セットに入った瞬間から「蜷川組」なんです。その気にさせられてしまうというか「実花さん、すごい!」って思いました。

物を作るプロフェッショナルが集まるとこういうふうな感じになるんだなって。その雰囲気にちょっとのまれていたような感覚はありましたけど、本当に楽しい現場でした。

――蜷川さんの演出で印象に残っていることは?

お芝居について、あまり細かく言われることはありませんでした。

実花さんは同性として女性のことを理解できる部分、掘り下げる部分があったと思うんですけど、それと同時に子どもを家に置いて外に働きに出ているということや、ご自身のお父さんの姿を見てきたということもあったからなのか、太宰に対して気持ちが入る瞬間があるみたいなことを仰っていたことがすごく印象に残っています。

俳優部同士でお互いの感情を引き出し合うことはあったりするんですけど、もしかしたら実花さんのそういう男性的なところに引き出されていた部分もあったんじゃないかなと思いました。

実花さんは女性の監督ではあるけど、どこか男性的な部分もありつつ、女性のタフなところや弱さも知っているんです。うまく表現できないですけど、男性であり女性である監督だったような気がします。

――だからこそ、どうしようもない男でありつつも、どこかチャーミングというか不思議な魅力を放つ太宰治が生まれたのかもしれませんね。

太宰さんに関しては、もう許すしかできないですもんね(笑)。私が演じた富栄さんもちょっと特殊というか、怒りというものが太宰さんだけではなくて自分の中にも向いているようなところがあったりして。

物語の後半では、とにかく太宰さんの子どもが欲しくて子作りに勤しもうとするんですけど、たぶんそれと同時に喪失感も覚えていたと思うんです。

だからこそ、自分の中に決定的なものが欲しかったのかもしれません。そういう意味では富栄さんも自分勝手なところがあったのかなと。

撮影前に富栄さんが書いた日記を読んだりしたんですけど、理解できる部分がありつつも腑に落ちるものがあまりなかったんです。どちらかというと、何でこんなふうになっちゃったんだろうって客観視していました。

だけど、現場では小栗さんが演じる太宰があまりにも圧倒的で。あの姿を目の前にすると理由なく引かれていくものですし、そこにすがりたいという気持ちにもなる。ちゃんと自分が生きていると感じさせてくれる存在だったような気がします。

■ 二階堂「太宰はスーパースターだったと思う」

――太宰治の魅力はどんなところだと思いますか?

太宰治って、お亡くなりになってから読み手の方々がどんどん神格化していった部分もあるように感じていて。でも当時は映画の中でも描かれているように、どこかアイドル的な存在というかスーパースターだったと思うんです。

そういう圧倒的なカリスマ性を持った人に引かれてしまうということは男性、女性関係なくあるような気がします。

――富栄を演じていて気付いたことはありますか?

結局、富栄さんは太宰さんのことを理解できなかったと思うんです。たぶん、彼の周りにいた3人の女性の中で理解していたのは(宮沢)りえさんが演じた奥さんの美知子さんぐらい。それが太宰さんの苦しみでもあったのかなと。

本当のところでは誰も自分のことを理解していないって感じていたのかもしれません。

――女性にだらしない太宰治のことを許せないという気持ちは?

ひどい男性という見方ができる一方で、断れない人というか何でも受け入れてしまう方だったのかなと思ったりもします。

結構優しい人だったのかもしれないと感じる瞬間も垣間見えました。きっと、3人の女性に対してはもちろん、友人やお互いに才能を認め合っている相手に対しても見せる顔が全然違っていたのかも。

周りの人たちはそういう部分に引かれていったのかもしれません。

――「恋」と「愛」の違いについてはどう思われますか?

面白いもので、こういうお仕事をやっていると自分に実体験がなくても何かの役を演じさせていただいた時に、そのキャラクターを通じて学ぶことがあったりするんです。

今回の現場では頭で理解するというより、体で感じる瞬間が多かった気がしています。

富栄さんって、本当は「愛」が欲しかった方だったんだろうなって思います。でも「恋」で生きるしかなかったし、太宰さんと一緒になることも彼の子どもを持つこともできない。そうなったら、もう最後は究極の決断をするしかなかった。

もしかしたら富栄さんは恋の最上級の場所、最たる部分を体感した方なのかなと思います。

――今回の作品を通して学んだことはありますか?

最初にお話を頂いた時、小栗旬さん、宮沢りえさん、沢尻エリカさんという先輩方の中に自分の名前があるということに、ある意味プレッシャーを感じていました。こんなにすごい方たちと並んでお芝居をしてもいいのだろうかって。

でも、だからこそやりたいという気持ちも同じぐらいありました。現場では、りえさんの佇まいとか、沢尻さんのピュアで美しいところなど、同性として学ぶことが多かったです。

――プレッシャーがあった方が力を発揮できるタイプですか?

そういう部分はあると思いますけど、今回は自然と作品の世界観に引き込まれて行って「ここで生きたい!」という気持ちにさせてくれる現場だったので、撮影が終わる頃にはプレッシャーも何もなくなっていました。

ただ、先輩方の足を引っ張らないようにしなくてはという緊張感のようなものは常に持っていたような気がします。だから、そういうことを全く感じさせない成田(凌)くんはすごいなと思いました(笑)。

もちろん、成田くんもいろんなことを考えていると思うんですけど、なんであんなふうに素直にいられるんだろうって。自分がそういうタイプではないのでうらやましかったです。

■ 二階堂「昔からダメなんです…」

――タイトルにちなんで、自分が“人間失格”だなと思うところは?

朝、全然起きられないところ(笑)。昔からダメなんです。睡眠時間の長さは関係ありません。どんなに早く寝てもムリ(笑)。

――朝、ちゃんと起きるための対策は?

自分を信じないこと(笑)。マネジャーさんにお願いして起こしてもらっています。

犬と猫を飼っているんですけど、夏場は暑いから朝早く起きて散歩に行くんです。でも、ウチの子たちは全然私のことを起こしてくれない(笑)。

――「散歩に行きたい!」という催促がない?

散歩は大好きなんですよ。でも、私が促さないと行こうとしない。私が寝ている限り、あの子たちもずっと寝ようとするんです(笑)。

――では、最後にメッセージをお願いします!

自分の中でどれぐらい太宰治というものが固定概念としてあったのかということを感じられる作品になっていますし、それがぶち壊される方もいらっしゃると思います。

その答え合わせを楽しみながら、彼を取り巻く3人の女性それぞれの人生も見ていただけたらうれしいです。

(ザテレビジョン・取材・文=月山武桜)

最終更新:9/14(土) 8:00
ザテレビジョン

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