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今始める 配当株投資 大型株で5%、業績変化に注意

9/15(日) 7:47配信

NIKKEI STYLE

株式相場が不安定な動きを続けている。先行きに不安を抱く人がいま注目しておきたい指標の一つが「配当利回り」だ。夏以降の株価調整を受けて配当利回りが高まった銘柄が増えているからだ。そうした高配当株をどう選べばいいのか。投資に生かす基本をみていこう。
配当利回りは配当の水準を判断するモノサシとしてよく使われる。株価に対する年間の予想配当金の割合を示す。50円の年間配当を計画する銘柄の場合、株価が1000円のときに配当利回りは5%だ。配当の水準が変わらない場合、株価が下がれば配当利回りは上がる。

■利回りが最高水準

日経平均株価を構成する銘柄の平均配当利回りは8月26日に2.36%と今年最も高い水準となった(図A)。株価が2万2000円台だった4月には2%近辺だった。昨年は1.5%台まで低下する場面もあった。市場関係者の間では「債券などと比べた株式の魅力が増している」(しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用本部長)との見方が増えている。

個別株に投資する場合、単純に配当利回りの高い銘柄を探すと、業績や財務が不安定になりがちな中小型株が多く含まれる。投資リスクを抑えるには「財務基盤が比較的しっかりしている時価総額の大きな銘柄の中から選ぶのがポイント」(楽天証券経済研究所の窪田真之所長)だ。

そこで、日本を代表する大型株を集めたTOPIXコア30を対象に配当利回りを銘柄ごとに調べ、高い順に並べてみた(表B)。大手銀行や大手商社が複数顔を出している。首位の日本たばこ産業(JT)の配当利回りは約7%、10位のホンダでも日経平均銘柄の平均値の2倍近くの水準にある。

こうした銘柄は、配当利回りを重視して投資先を選ぶ投資信託が実際に保有している。「日本好配当株投信」(野村アセットマネジメント)の組み入れ比率上位(7月末時点)には三井住友フィナンシャルグループやJTなどが並ぶ。「ダイワ日本好配当株ファンド」(大和証券投資信託委託)は武田薬品工業や三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱商事などの保有が比較的多い。
とはいえ、現在は米中貿易摩擦を背景に世界景気の先行きが不透明感が強い。為替相場も不安定で、円高に振れれば海外で稼ぐ企業は利益が目減りしてしまう。配当の原資は純利益だから、本業が不振に陥れば減配の可能性が生じる。業績の変化には今まで以上に注意を払うべき局面だ。
業績悪化の兆しをつかむには「進捗率」が参考になる。純利益の通期予想に対する期中の達成度合いを示す指標だ。進捗率が低いと、通期予想が下方修正されるリスクがより意識される。季節性もあり一概にはいえないが、4~6月期業績を発表済みの3月期決算企業であれば25%、1~6月期を発表済みの12月期企業なら50%が目安となる。

例えば3月期のNTTドコモの進捗率は33%と目安の25%より高く、昨年同時期の水準(31%)も上回る。反対に12月期のキヤノンは41%と目安の50%に比べて低めだ。期が進むごとに確認したい。
株式市場ではキヤノンを含む外需株を巡って今後の収益悪化への警戒感が根強い。これに対してNTTドコモなど「海外環境や景気に業績が左右されにくいディフェンシブ銘柄を中心に選ぶべきだ」とファイブスター投信投資顧問の大木将充運用部長は話す。

■内需株に買い

ディフェンシブ銘柄を物色する流れは外食やレジャー関連を中心に年初から続く(表C)。サイゼリヤの株価は昨年末比で4割高、吉野家ホールディングスは3割高。複合型レジャー施設を手掛けるラウンドワンや、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの株価も大きく上昇している。外需関連株に比べ安定的な成長が見込めるとの期待が背景にある。

米中貿易摩擦の余波が警戒される中では、配当利回りが高いというだけでは安易に飛びつけない。従来にも増して業績の安定性を確認し、銘柄を選別する眼が問われる局面だ。
(川上純平)
[日本経済新聞朝刊2019年9月7日付]

最終更新:9/15(日) 7:47
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