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扶養範囲を超えて働く損得 社会保険料や控除など点検

9/15(日) 7:47配信

NIKKEI STYLE

夫が会社員で、私はフリーランスで働いています。今は扶養範囲内ですが、今後、扶養の範囲を超えて働こうか迷っています。(40代女性)
◇ ◇ ◇

■回答者:ファイナンシャル・プランナー 前野彩さん

フリーランスでもパートでも、現在扶養に入っている人がさらに仕事で収入を得る場合、制度上の「損得」が気になるのは当然でしょう。
「扶養」の定義は3種類あります。健康保険や国民年金における「社会保険上の扶養」、所得税や住民税の控除の対象となる「税金上の扶養」、勤務先から支給される「家族手当上の扶養」です。
まず社会保険上の扶養です。扶養に入っている場合は、自分で社会保険料を納めなくても、自己負担3割で受診でき、老後は老齢基礎年金を受け取れます。会社員の夫の扶養に入るための妻の条件は「見込み給与年収が130万円未満(月額10万8333円以下)」かつ「夫の収入の2分の1未満」です。
ただし130万円はパートなどの給与収入の場合。フリーランスなど自営業者は「収入から必要経費を差し引いた金額が130万円未満」が扶養の条件です。扶養を外れると、受ける保障は同じでも、自分で社会保険料を納める必要があります。
注意すべき点は、健康保険と税金の必要経費が異なること。健康保険上の経費は「仕入れ原価」など事業に不可欠で直接的な支出に限られます。交通費や通信費が経費に当たるかは夫が加入する健康保険によって異なるので、健康保険組合に確認しましょう。

次は税金上の扶養です。1月1日から12月31日の間に妻が得た所得で決まります。夫が配偶者控除などを利用できるのは、自営業者の妻の収入から必要経費を差し引いた所得が123万円以下であること。税金上の必要経費には、接待交際費や減価償却費も該当します。住居や車を事業に使う場合、使用面積や使用時間で公私を明確に区分しておけば、家賃や光熱費、ガソリン代も経費に含められます。

夫の扶養の範囲内で働いていた自営業者の妻の所得が、123万円を超えた場合の変化を見てみましょう。
夫の給与収入が600万円(所得税率と住民税率は共に10%)とした場合、配偶者控除などが利用できなくなると、夫の所得税と住民税は月額換算で約6千円の増税です。
所得や税額が増えると、児童手当や保育料に影響する可能性があります。勤務先に「家族手当」がある場合は制度を確認しておきましょう。
夫の社会保険料は、妻が扶養から外れても変わりませんが、妻は国民年金保険料を月額1万6410円納めます。国民健康保険料は前年の所得で決まり、前年の所得がなければ月額換算で6700円、その翌年は同1万6300円(自治体で異なる)です。
妻が扶養から外れると、一時的に夫婦の手取りは少なくなりますが、妻の所得が増えれば挽回できます。帳簿を付けたうえで青色申告特別控除の最大65万円の控除を使うと、控除する前の所得が124万円以上になれば、扶養の範囲内で働いていた時の夫婦の手取りに戻ります。

納税すると、節税もできる個人型確定拠出年金(イデコ)や小規模企業共済の制度を使い、自分退職金や自分年金を準備することもできます。
制度は時代によって変わります。2016年には従業員501人以上の会社で働く年収106万円以上の人は扶養から外れ、今も加入基準の拡大が検討されています。18年からは配偶者控除などが改正されました。20年には基礎控除が引き上げられ、結果的に自営業者の税負担は軽くなります。定年のないフリーランスの強みを生かし、制度に振り回されない働き方を見つけませんか。
[NIKKEIプラス1 2019年9月7日付]

最終更新:9/15(日) 7:47
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