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マンチェスター・シティに生じた綻び。台風の目へ、昇格組ノリッジが示したゲーゲンプレスの脅威

9/15(日) 10:20配信

フットボールチャンネル

プレミアリーグ第5節、ノリッジ対マンチェスター・シティが現地14日に行われ、昇格組のノリッジが3-2でシティを下した。ノリッジの若い選手たちがシティ守備陣へと襲い掛かるゲーゲンプレスは、国内3冠を達成したチャンピオンを最後まで苦しめた。(文:加藤健一)

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●昇格組のゲーゲンプレス

 マンチェスター・シティが68.8%のボール保持率をマークし、ノリッジの7本に対して25本のシュートを記録した試合は、3-2でタイムアップのホイッスルが鳴り響いた。

 と聞けば、昨季のチャンピオンチームが、昇格チーム相手に勝利を収めたように聞こえるが、結果は反対。27,035人の大歓声を受けたノリッジが金星を掴んだのだ。

 マンチェスター・シティは、第2節でトッテナムにこそ引き分けたものの、ここまで3勝1分けで、全勝のリバプールの後を追っていた。一方で昇格組のノリッジは10失点が響き、1勝3敗で下位に沈んでいる。

 ノリッジは右SBサム・バイラム、左SBジャマール・ルイス、CBにはベン・ゴッドフレイ、両サイドハーフにトッド・カントウェル、エミリアーノ・ブエンディアと、20代前半の若い選手が多く並ぶ。運動量豊富な彼らのプレッシングでボールを奪い、素早くカウンターへと移行。最後はチャンピオンシップ得点王のテーム・プッキがゴールを奪う。ユルゲン・クロップに率いられたボルシア・ドルトムントさながらのゲーゲンプレスを得意とするチームだ。

 それもそのはず、ノリッジを率いるダニエル・ファルケは2015/16から2年に渡って、ドルトムントのセカンドチームを指揮。当時のトップチームを率いていたのはトーマス・トゥヘルだが、若手を積極的に起用するスタイルにその容姿も加えて、クロップと比較されることも多い。そのスタイルが、シティ戦での白星につながった。

●利き足ウイングへの配置転換

 黄色と緑色に染まるノリッジのホームスタジアム・キャロウロードでスコアが動いたのは18分。ノリッジの右CKはストーン役のロドリの前に飛んだが、ケニー・マクレーンがその前に走り込んでヘディングシュート。最初のチャンスを見事に沈めて、今季の昇格チームが先制点をあげた。

 さらに28分、ロングカウンターにプッキが抜け出すと、ゴール前でカントウェルがボールを受けてゴールに流し込む。ここまで5得点をあげるストライカーからのお膳立てを、生え抜きのホープが正確に決めて、ノリッジは前半のうちに追加点をあげた。

 38分あたりからシティはウイングの立ち位置を入れ替える。スターリングを右、ベルナルド・シルバを左と、利き足側に置いた。狙いは「DFの体勢」を変えることにあっただろう。利き足側にウイングがいることで、縦へ突破する意識は強くなる。タッチライン際からマイナスのクロスを上げれば、相手DFは体の向きを変えなければいけない。そこの時間的なギャップを突いてFWが飛び込むことで、シティはいくつかチャンスを生んでいた。

 すると45分、そのベルナルド・シルバが左サイドからクロスをあげると、中央でフリーになったセルヒオ・アグエロが頭で合わせ、5試合連続得点となる今季7ゴール目をあげる。シティは1点を返したものの、2-1とリードを許して前半を終えた。

●暗雲立ち込めるシティ

 後半になってゴールネットを揺らしたのはまたしてもノリッジ。CBのパス交換をかっさらってゴール前にボールを運ぶが、プッキはボールをミートできずにシュートは枠外へ。その直後、GKからパスを受けたニコラ・オタメンディからエミリアーノ・ブエンディアがボールを奪うと、ゴール前で待つプッキへパス。今度はこれを確実に決めて、50分に貴重な3点目をあげた。

 時間が経ってもノリッジの足は止まることなく、球際での激しいプレスと、体を張ったゴール前での守備は継続。シティはゴールラインを割ることはおろか、枠内シュートに持ち込むことすらままならない。

 シティは88分にロドリがミドルレンジからシュートを決めて1点差とするも、反撃はここまで。プレミアリーグでは昨季第24節以来となる黒星を喫した。

 ウイングの配置を入れ替えたシティだったが、その後は効果的な攻撃が見せられず、73分にリヤド・マフレズを投入して元々の逆足ウイングに戻した。ゴール前を固められたことで、利き足ウイングの効果も半減してしまった。

 前日に3対1の勝利をあげたリバプールも、守備を固めるニューカッスルに手を焼く場面が見られた。しかし、リバプールはミドルレンジから積極的にシュートを狙うことで、相手の守備を崩している。この日のシティはそういった種をまくこともなく敗れてしまった。

●上位陣にも脅威を与えるノリッジ

 ノリッジはボールを奪うと、前線のプッキに当てて、2列目からはゴールを決めたマクレーンやカントウェル、2アシストをマークしたブエンディアが飛び出してくる。ロングカウンターで幾度となくシティ陣内へと襲い掛かり、相手の反撃に水を差した。

 今季のノリッジはリバプール戦で得点を奪い、チェルシー戦でも2点を奪取。この日はシティを相手に3得点で勝利を挙げるなど、上位陣を相手にも持ち味の攻撃的なサッカーを展開している。今後、若い守備陣と経験豊富なGKティム・クルルを中心に守備陣の整備が進めば、非常に楽しみなチームとなるだろう。

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)初戦を水曜日に控えるシティは、代表ウィーク明けのこの試合をなんとしてでもとりたいところだったが、思わぬ形で先制点を奪われた。さらにミスから追加点を奪われ、その後もゴール前を固めるノリッジに対して攻め手を欠いた。

 この敗北によってリーグ戦では首位リバプールと5ポイント差となり、3連覇に向けて暗雲が立ち込めてきたと言えるかもしれない。

(文:加藤健一)

【了】

最終更新:9/15(日) 10:20
フットボールチャンネル

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