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カルーセル麻紀がモデルの小説、本人の要望は「とことん汚く書いてね」

9/15(日) 18:00配信

週刊女性PRIME

 LGBTという言葉のない時代に女性へと性転換し、現在も芸能界で活躍するカルーセル麻紀さん。そんな彼女の人生をモデルにした長編小説が、桜木紫乃さんの『緋の河』です。

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ほかの誰にも書かせたくない、“書き手の欲”

 同じ釧路出身のカルーセルさんが出版した自叙伝『酔いどれ女の流れ旅』に収録する対談の相手となった桜木さんは、対面した瞬間「この人を小説として書きたい!」という強い思いが生まれたと言います。

「麻紀さんと話していて、同じ街に生まれて、同じ中学に通って、同じものを見て育っていたんだと思ったら、これはもうほかの誰にも書かせたくない、と。“書き手の欲”というのに初めて気がついたんです」

 後日、小説として書きたい意思を伝えると、「まだ生きてるのに書きたいの? 変な子ねぇ」と笑われたそうです。

「麻紀さんに『フィクションで書くので、ウソなんですけど』と言うと、『いいわよ。そのかわり、とことん汚く書いてね』とおっしゃったんです。私は小説の書き手なので、虚構でしか書けない。

 だからなぜこの子がカルーセル麻紀になってゆくのかというところは全部自分で想像しました。釧路に生まれて家出をして、ゲイバーで働いて……という事実は話の筋として使っていますが、それ以外の出来事、出会った人、別れた人も含めて、すべて虚構で書いています」

逆境にも怯まず、明るく過ごす主人公

 主人公の秀男は、自分のことを「あたし」と言う、きれいな顔立ちをした小柄な男の子。兄ではなく姉と遊ぶことを好み、美しい人やものに惹かれ、女性のような言葉遣いをすることから、学校で「なりかけ」といじめられますが、決してひるまず、泣きもしない。自分は間違ってなどいない、「生まれ落ちたこの身体と性分をせめて自分だけは好いていたい」という強い信念があり、自分の居場所を自ら作っていきます。

「この小説は新聞連載だったんですが、読んだ麻紀さんから『あの話ってしたっけ?』と言われることがときどきあったんです。でも聞いてしまうと事実を書くことになるので、『言わなくていいです!』と申し上げて、聞かないようにしていました(笑)。

 でも私の想像が間違っていないとすれば、書いた甲斐がありますし、そう思ってもらえるくらいリアルな小説になっていたらうれしいです。見てきたようにウソを書いているので(笑)」

 幼い秀男は、初詣で会ったよい香りのする美しい女性にまた会いたいと、ひとり花街へと出かけ、そこで働く華代と出会います。女になりたいと言う秀男は、華代から「この世にないものにおなりよ」「そうじゃなきゃ、他人様にああだこうだ言われたまま人生終わってしまうだろう」という言葉をかけられます。そして初めて恋心を抱いた同級生に正直に気持ちを伝え、何でも話せる親友ノブヨとの友情を温めます。

「秀男はどんどん明るいほうへ行くし、悲壮感が全然ない。どうしたらそんなに強くなれるのか、その理由が知りたくて麻紀さんに電話をしたら、『あんた、そんな悩んでいる暇なんかなかったわよ!』と言われました(笑)。

 その言葉で、生きることの答えはここにあったんだと思いました。居場所は人から与えられるものではなく一生懸命、生きて自らたどり着くものなんですよね」

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最終更新:9/17(火) 13:27
週刊女性PRIME

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