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会社の重要会議…最適な参加者は「大人数」or「少人数」?

9/15(日) 15:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

性格や考え方が異なる人が集まる企業やチーム。これらをまとめなければいけないリーダーの苦労は図りきれません。そこで本連載では、組織マネジメントを行う際に利用できる、心理学の基礎知識を紹介していきます。本記事では、重要事項を決めるような会議の適正な規模を、心理学的に考えてみます。

大事なことは多くの意見を聞いて決めたいが……

あるテーマについて会議が必要なとき、メンバーはどのように決定していますか。実は、会議の出席人数が、決定される内容に多大な影響を及ぼすことがわかっています。人数が多いほど危険行為が促される、集団討議における「リスキー・シフトの法則」を覚えておきましょう。

大きな取引先の新規重要案件、企業の経営にかかわることなど重大な事項ほど、本当は社員みんなに意見を乞いながら決めたいものです。しかし「多くの社員に知られると不安をあおることになる」「混乱が起きそう」「事情の分かる役員だけで決めたほうがいい」といった理由で、ごく限られた人数でミーティングを行うことのほうが多いでしょう。

そんなことが続くと、社員の一部からは「秘密主義だ」と抗議される可能性が高まりますし、信頼関係が損なわれるのではと、過度に気にするリーダーもいるかもしれません。しかし、会社の運命を左右するような重要なことは、少人数で決めたほうがいいのです。「リスキー・シフトの法則」が、それを証明してくれます。

ワラックが行った「リスキー・シフトの実験」とは

アメリカの心理学者ワラックは、集団で行われる意思決定が個人よりも危険なものになる現象について、実験で詳しく調べました。社会生活上で生じる2択において、どちらを選択すべきか悩む人に、実験の参加者がどんな助言をするかを観察したのです。

社会生活上で生じる2択とは、たとえば「高給与だが不安定な職に就くべきかどうか迷っている」「医学部をやめて、音楽家を目指すべきか」「難病にかかっていて、かなり成功率の低い大手術を受けるかどうか迷っている」といったものです。

まずは個人ベースで12の質問に回答させ、その後6人の集団で討議し、全員一致の回答を出すよう求めました。さらに討議後、2~6週間の期間を置いて、個別に同じ12の質問へ再び回答してもらいました。

結果、個人で出した回答よりも、集団で一致させた回答のほうが、よりリスキーな結論に至ったことがわかりました。12の質問のうち、じつに10もの質問において、個人回答よりも集団回答のほうがリスクの高い結論を選んだのです。

さらに、集団討議の結果は、その後の個人の考え方にも影響を及ぼしていました。集団討議から2~6週間が経過しているにもかかわらず、2回目の個人回答においては、1回目の個人回答よりもリスキーな選択がなされたのです。

ここで興味深いのが、集団討議で積極的な役割を演じた人の性格です。個人回答でリスキーな選択をした人ほど、集団討議では積極的な役割を担っていたことがわかりました。もしかしたら、これが影響因子になったのかもしれません。

「じゃあ、会議では『リスクを取ろう』とみんなを奮い立たせる人に気を付ければいいだけで、やっぱりみんなでブレストしたほうが新しいアイデアに出会えるもんじゃないの?」と考える人もいるでしょう。果たして、集団は個人よりも優れているといえるのでしょうか。これについては、アメリカの心理学者ダネットが実験を行っています。

ある企業の研究職48名と、広告職48名に、それぞれ課題についてのブレインストーミングを行うよう要請しました。2つの職種で実験を行ったのは、研究職は集団より個人でものを考え、広告職は逆に集団でものを考える傾向にあるとみられるためです。

課題は「統計によると、今後教師が不足してくるとみられるが、効果的な対策にはどんなものが考えられるか」「外国人旅行客を多く呼び寄せるにはどうすればよいか」といったごく一般的な事柄に関するものでした。それぞれ、個人で15分間、集団で15分間のブレインストーミングを行ってもらい、アイデアの量と質を測定しました。

すると、研究職、広告職いずれの場合においても、アイデアの量・質ともに、個人で考えたほうが圧倒的に優れたものが多かったのです。「みんなで揉めば、アイデアがたくさん出る」と考える人にとっては、驚きの内容です。

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最終更新:9/15(日) 15:00
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