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渋谷駅前に現れた「ゴーストタウン」――路地の街から「高層ビルの街」へと生まれ変わる桜丘

9/15(日) 8:33配信

HARBOR BUSINESS Online

約100棟が立ち退き――閉店を選んだ「老舗」や「チェーン店」

 今回の再開発で際立つのは「立ち退き物件の多さ」だ。再開発面積は1期部分が約2.6ヘクタール、2期部分が約2.1ヘクタールで、合わせると東京ドームの面積(約4.6ヘクタール)よりも少し広い。1期部分だけで立ち退き対象・解体となる物件は約60棟、2期部分を合わせると100棟ほどにも上るとみられる。

 これまでも、渋谷駅周辺では東急グループにより多くの大型再開発がおこなわれてきた。しかし、それらの多くは旧線路敷地、駅舎、大型商業ビルなどの跡地を中心としたものであったため、立ち退きが行われたエリアは限定的であり、近年渋谷において「街ごと消える」ような再開発は少なかった。桜丘地区においてすでに再開発が完了したエリアである「東急セルリアンタワー」(2001年竣工、東急ホテルなど)についても、敷地の大部分は東急電鉄の旧本社屋ビルであった。

 そのため、今回の再開発では惜しまれつつ「閉店」となった店舗も少なくない。

 再開発から取り残されてきた桜丘だけに、なかには十数年、もしくは数十年に亘って地域に親しまれてきた「老舗」の姿も目立つ。例を挙げると、半世紀以上の歴史があるダンス教室「玉井ダンス教室」、50年近く続いた立呑み酒場「富士屋本店」(ワインバーのみ存続)、ジャズ喫茶「メアリージェーン」、お食事処「かいどう」などだ。こうした老舗では店主が高齢の店もあったため、後継者問題により閉店を決めた店舗も少なくなかったであろう。
 これらの老舗は、いずれも音楽と庶民グルメの街であった桜丘を象徴するような店であり、地方から、なかには外国から東京を訪れた際に桜丘にあるお気に入りの飲食店にわざわざ立ち寄る人もいたという。昨年末に筆者が訪れた際にも、桜丘の街を、そして思い出の店の最期を熱心にカメラに収める人の姿を見かけた。

「移転」を選んだ店舗も

 また、「地域に根付いた老舗」とは対極の存在である大手チェーン店についても、移転などではなく「撤退」もしくは「既存店に統合」となった店舗が目立った。例を挙げると、映画「君の名は」に登場したことでも知られる「あおい書店」や「松屋」、「串カツ田中」、「ドトールコーヒー」、「リンガーハット」、「ダイコクドラッグ」、「アジアンハーブス(フットマッサージ大手)」などが該当する。これらの店舗は、再開発される方針が決まったあとに短い契約期間でありながら出店したものも多く「家賃の安い場所で限られた期間で稼いで去っていく」というチェーン店らしいスタイルが垣間見えた。

 一方で、再開発地区から移転し、新天地での営業継続を決めた店舗も少なくない。それらのなかには、渋谷の「文化発信拠点」を担ってきたライブハウスや楽器店、ホビーショップなども数多く含まれる。こうした店舗は一体どこへ移転することになったのか――それについては、また後日の記事で明らかにしていきたい。

<取材・文・撮影/若杉優貴(都市商業研究所)>

【都市商業研究所】
【都市商業研究所】
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken」

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最終更新:9/15(日) 8:33
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